朝日文庫
期待と回想―語り下ろし伝

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  • サイズ 文庫判/ページ数 608,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022615596
  • NDC分類 121.6
  • Cコード C0195

内容説明

私は不良少年だった―。15歳で留学したアメリカで新しい哲学運動と出会い、逮捕され交換船で帰国。バタビアで戦争を体験する。戦後の「思想の科学」「べ平連」での活動、読書の魅力、同時代の知識人など、豊富な話題を自在に語る。日本を代表する哲学者の対話による思索的な自伝。

目次

1 アメリカ哲学と出会う
2 かるたの思想
3 記号のプラグマティズム
4 転向について
5 意志のあるところ
6 アナキズムは何の方法か
7 伝記のもつ意味
8 外からのまなざし
9 編集の役割
10 雑誌『思想の科学』の終わりとはじまり

著者等紹介

鶴見俊輔[ツルミシュンスケ]
1922年東京生まれ。哲学者。15歳で渡米、ハーヴァード大学でプラグマティズムを学ぶ。アナキスト容疑で逮捕されたが、留置場で論文を書きあげ卒業。交換船で帰国、海軍バタビア在勤武官府に軍属として勤務。戦後、渡辺慧、都留重人、丸山眞男、武谷三男、武田清子、鶴見和子と『思想の科学』を創刊。アメリカ哲学の紹介や大衆文化研究などのサークル活動を行う。京都大学、東京工業大学、同志社大学で教鞭をとる。60年安保改定に反対、市民グループ「声なき声の会」をつくる。65年、べ平連に参加。アメリカの脱走兵を支援する運動に加わる。70年、警官隊導入に反対して同志社大学教授を辞任。著書に『戦時期日本の精神史』(岩波書店、大佛次郎賞)、『夢野久作』(リブロポート、日本推理作家協会賞)など。94年度朝日賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

16
日本に対する失望というのは、日本を離れるころからはっきりとあった(54頁)。鬱病に自己嫌悪(84頁)。優秀過ぎたのだ。1日4冊、小学校出るまでに、1万冊(97頁)。速読の偉業。「言葉のお守り的使用法について」はマリノフスキーの「未開人の言語における神話」にヒントを得ている(152頁)。英語はできるけど、できないようにして生きたい(169頁)。負けた側からの発想法。世界国家ができたって、おれとは関係ない……この視線が大切という(296頁)。無駄なものの中に夢がある(307頁)。 2014/11/29

Bartleby

9
鶴見俊輔の思想は、母親との関係に始まり、それに終わる。すべての著作は、どれも母親に対する返答であるとさえ言っている。また彼は、たった1回しか経験できない生に重きを置いている。伝記を多く書いているのも頷ける。ひたすら個人的事情に根をおろし、その上で世の現象を、歴史を、眺めていく。これが氏にとっての哲学だ。本書で氏は、哲学とユーモアは相容れないと語っている。同意はできないが、その理屈でいくと氏は哲学者ではない。彼の著作には、大江健三郎と似た独特のユーモアが漂う。2022/11/11

白義

3
サンチョ・パンサに憧れるドン・キホーテという自己規定が目をひきました。鶴見俊輔という思想家を大掴みするのに最良の自伝的座談会であり、著作集をもとにした話題の広さ、伸びやかな語り口において話題作『戦争が遺したもの』より個人的には上。生きる歴史であり戦後思想家で最も公平と言われる鶴見俊輔の姿、輪郭がはっきりと浮かび上がってきます。思想、歴史を超えてこれは一つの、人の理念が形になっていますね。ここから著作集に進むもよし、それらを終わった後に振り替えるもよし。最良の回想録の一冊2011/07/04

aaboo

1
体系的な思想は作らない、あやふやさが大切。鶴見俊輔は尊敬する哲学者だ。2019/05/21

荒川ながれ

1
ゆるやかな語り口。さまざまなエピソード、幼年期の母親との関係、ハーバードでの記号論、敗戦する日本に帰国したこと、軍隊では人を殺すかもしれなかったこと。アナーキズムのこと。さまざま人との出会いを語った。特に都留重人、桑原武夫、河合隼雄などの交流が印象的。マルクス主義はキリスト教のひとつという指摘に「そうかも」。石橋湛山の「早く日本が負けるよう祈った」に感服。2013/05/20

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