内容説明
1995年、一人の女子高生が教師の体罰によって殺され、暴力のはびこる学校を容認する街には、被害者を誹謗中傷するデマが流された。遺族の怒り、地域に守られる教師、膨れあがる減刑嘆願署名運動…陰惨な事件の真相とその後を丹念に追跡したルポルタージュ。
目次
1章 事件発生
2章 体罰死
3章 噂の孵化
4章 暴力の学校
5章 噂の培養基
6章 控訴審
7章 噂の深部
8章 追悼
著者等紹介
藤井誠二[フジイセイジ]
1965年愛知県生まれ。ノンフィクションライター。高校在学中に管理主義教育を告発する社会運動に参加し、卒業と同時に出版されたその記録が大きな反響を呼ぶ。幅広い取材と綿密な調査をもとに、当事者に伴走しながら社会矛盾をえぐるルポルタージュを多数手がける
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感想・レビュー
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sober
1
教師から執拗な体罰を受け、一人の女生徒が死に至る。その死後も周囲の根も葉もない誹謗により、蹂躙され続ける。透徹なまなざしで起こった事実だけを見つめるべきではないかと憤りを感じる反面、それができればどれだけいいだろうとも思う。当該事件では、学校に自浄能力がないことが浮き彫りになった。加害者の教師も結局は・・・である。しかしながら、学校だけに任せるには限界があることも事実である。つまり、体罰は社会全体で考えなければならない課題であるということだ。被害者のご冥福をお祈りします。2013/01/14
Ikuto Nagura
0
私が子どもの頃も、暴力を振るったり怒鳴ったりする教員はたくさんいた。そして生徒たちは彼らを蔑みながらも、面倒臭いから従っていた。いくら教員がアホでも殺しはしないだろうと甘く見ていた。実際は「体罰はやり返されることを想定しない、権力的強者と弱者の関係を前提に行われる一方的で卑劣な暴力である」のに。加えて、体罰教員はたいした処罰を受けぬ「合法化された暴力」であり、保護者や地域住民もそれを許容する。著者の言う通り、警察に通報するのは当然として、それ以前に面倒臭がらず生徒たちが学校に声を上げねばならないんだろう。2015/02/07
トレイルかめ
0
恐るべき現実!暴力教師に殺された被害者は、心無いデマに、二度殺された!2012/07/07