内容説明
『源氏物語』を生んだ一条朝は、紫式部、清少納言、安倍晴明など、おなじみのスターが活躍した時代。藤原道長が権勢をふるった時代とも記憶されているが、一条天皇は傀儡の帝だったわけではなく、「叡哲欽明」と評された賢王であった。皇位継承をめぐる政界の権謀術数やクーデター未遂事件、当時としてはめずらしい「純愛」ともいうべき愛情関係。ドラマチックな一条天皇の時代を、放埓だった前代・花山天皇の、謀略による衝撃的な退位から書き起こし、現存する歴史資料と文学作品、最新の研究成果にもとづいて、実証的かつ立体的な「ものがたり」に紡ぎあげる。『源氏物語』が一条朝に生まれたのは、決して偶然ではない。
目次
序章 一条朝の幕開け
第1章 清涼殿の春
第2章 政変と悲劇
第3章 家族再建
第4章 男子誕生
第5章 草葉の露
第6章 敦成誕生
第7章 源氏物語
終章 一条の死
著者等紹介
山本淳子[ヤマモトジュンコ]
1960年、金沢市生まれ。京都大学文学部卒業。石川県立図書館加能史料編纂室室員・石川県立金沢辰巳丘高校教諭を経て、1999年、京都大学大学院人間・環境学研究科修了。博士(人間・環境学)。京都学園大学経済学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nico🐬波待ち中
90
源氏物語の時代。それは平安朝の帝・一条天皇の時代を指す。これまでは御簾の向こうで優雅に鎮座し、時の権力者に利用される傀儡のイメージがあったけれど、とんでもない。常に国の平穏に気を配り率先して政に携わり、生涯ただ一人の女性への愛を貫く信念の御方であった。紫式部の創作した『源氏物語』と、一条天皇・定子・彰子3人の生き様やその周囲で繰り広げられる様々な出来事との関連がとても興味深い。めくるめく一条朝は『源氏物語』により後世へ遺され現代に至るまで語り継がれている。『源氏物語』を改めて読み直したくなる作品だった。2021/02/06
さつき
83
再読。やはり何度読んでも心震える本です。千年前の一条朝に生きた人々の思いが胸に迫ってくるようです。2021/11/14
昼寝ねこ
75
一条天皇の時代を追っていく それは源氏物語の時代であり枕草子の時代でもある 人物では藤原道長、藤原定子、藤原彰子の時代と重なる 紫式部、清少納言を始め歴史上の有名人が他にも数多く登場する 小右記、権記、御堂関白記、大鏡、栄花物語など様々な書物が歴史を今に伝える 山本淳子先生の本は研究書でありながら親しみ易い文章で史実を伝えてくれるので愛読している2023/11/27
sofia
57
古典は苦手だったけど、年をとるうちに源氏物語にひかれ、これはおもしろかった。一条天皇前後の歴史のドラマチックなこと!一条天皇、定子、彰子…魅力的な人が集まっていること。清少納言があらわれ、紫式部によってこの時代に源氏物語が書かれたのは必然であったと思う。2019/02/16
Nat
51
図書館本。藤原道長、定子、彰子、清少納言、紫式部は日本史などで触れることが多かったが、一条天皇を中心にしてその時代を考えることはあまりなかった。ここでは、一条天皇を中心にして歴史を捉えている。藤原氏の権力闘争や后たちの生き方などとても興味深かった。一つとても驚いたのは一条天皇崩御の際に病状は一旦は回復に向かっていたが、道長が儒学者にさせた易占の結果が天皇の死を指し示していたため、それを知った天皇の容態が悪化したとのこと。現代風にいうと精神的打撃を受けて急激に体のバランスが崩れ、死に至ったなんて衝撃的すぎ。2023/10/25
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