内容説明
絵はがきが生まれて約100年。現在では、観光地のみやげ物、イベントや展覧会の記念品というイメージが強いが、明治末から昭和のはじめにかけて大量に発行された絵はがきは、テレビやラジオのない時代、もっとも身近で、もっとも速報性のある、重要なメディアでもあった。1900年に私製はがきの発行が許可されると、絵はがきが大ブームとなる。日本のどこかで災害や大事件が起こるたびに、絵はがきがつくられた。事故を伝える新聞号外や遺体の写真までもが絵はがきになった。一方で、高校野球や万博といったビッグイベントはもちろん、学校の遠速や運動会のような私的な催しでも、絵はがきは記念品の定番だった。著者秘蔵のコレクション約90点をカラーで紹介、描かれた事件や風俗から、近代日本が失った風景の意味、過ぎ去った時代の雰囲気を読み解く。
目次
第1章 収集家の周辺
第2章 エンターテインメントと絵はがき(近代的なレジャーの誕生;イルミネーションを楽しむ)
第3章 記録写真としての絵はがき(懐かしき学舎;災害の現場から)
第4章 メディアイベントと絵はがき(飛行機一〇〇年;スポーツ万歳;万博がはじまる)
著者等紹介
橋爪紳也[ハシズメシンヤ]
1960年、大阪市生まれ。1984年、京都大学工学部建築学科卒業、1986年、京都大学大学院工学研究科修士課程修了、1990年、大阪大学大学院工学研究科博士課程修了。大阪市立大学大学院文学研究科助教授。建築史・都市文化論専攻。工学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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