朝日選書
司馬遼太郎の幕末・明治―『竜馬がゆく』と『坂の上の雲』を読む

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  • サイズ B6判/ページ数 309p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022598288
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0321

内容説明

歴史小説は“史実”か“虚構”か、という対比には意味がない。作家も歴史家も、自分の生きている時代のなかで、ある時代を切り取り、対象として書く。歴史を描くうえで、両者の差はない。史実が書かれているかどうかではなく、記述の“作法”に意味がある。本書では、「国民作家」司馬遼太郎作品のなかでもとくに人気の高い『竜馬がゆく』と『坂の上の雲』を、作品全体を通してたんねんに読み込んでいく。2作品で司馬が書いた、あるいは書かなかった幕末・明治を、小説の対象となった時代・小説が書かれた時代・そしてわれわれが読んでいる今現在=「三つの時間軸」で読む、はじめての試みである。読み手が“いま”を背景に、作品をどう読むかも問われるのだ。

目次

第1章 いま、司馬遼太郎を読むこと
第2章 『竜馬がゆく』を読む(近代日本の出発点としての「明治維新」;近代人・司馬のみた「近代」形成の論理;1960年の坂本竜馬像;司馬遼太郎の明治維新像/歴史学の明治維新像)
第3章 『坂の上の雲』を読む(描かれる「国民国家」の試練;文明/民族/帝国―19世紀の世界史像と日本像;「戦争の語り」(認識;記述の作法をめぐって)
司馬遼太郎が描いたこと/描かなかったこと/描けなかったこと)

著者等紹介

成田龍一[ナリタリュウイチ]
1951年、大阪府生まれ。早稲田大学大学院修了。現在、日本女子大学教授。専攻は近現代日本史
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感想・レビュー

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がんぞ

3
二大・代表作を丁寧に読み解いてたとえば『竜馬…』では桂小五郎と剣道で対決の場面は実際はありえないなど小説としての脚色や、大政奉還論が慶喜をはめる罠で“その上で領地を没収すると通告すれば必ず抵抗するだろう、そこを叩く”武力行使論に対し平和解決論の竜馬が暗殺されたことで一気に鳥羽伏見の戦いとなった、と幕末を総括する(断定はしないが)。『坂の上…』では新聞連載中の自民党の米国追従安保政策への不満が記述に反映していると見るのが目新しい。前者では天皇に敬語を使うが、後者では使わない、日本を「この国」と客観視する元祖2014/09/23

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