朝日選書<br> 遣唐使船―東アジアのなかで

朝日選書
遣唐使船―東アジアのなかで

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  • サイズ B6判/ページ数 208,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022597342
  • NDC分類 210.3
  • Cコード C0321

内容説明

古代の日本の持つ二つの顔。777年、宝亀の遣唐使は船出した。大使の仮病、難破、漂流…一行の苦難は続く。なにを求めて中国へ行き、なにを持ち帰ったか。中国との駆け引きは?東アジア世界の片隅で懸命に生き抜く日本。ある一行の旅路のすべてを検証する手法で迫る新・遣唐使論。

目次

1 唐と日本―二つの「中華」帝国(十三年ぶりの遣唐使;仮病で渡海拒否 ほか)
2 遣唐使の旅(五島からの旅立ち;遣唐使船の乗組員 ほか)
3 遣唐使船は何を運んだか(日本から持っていくもの;朝貢品の性格 ほか)
4 往き交う人びと―「世界」と日本(留学生伊予部家守;中国語の受容 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hyena_no_papa

4
奈良時代の末、宝亀八年(777)に派遣された遣唐使に焦点を当て、しかも遣唐使「船」という視点も加えて渡海入唐の困難さや特に唐帝国内での使人等の動きも詳しく分かりやすく解説する。ややもすると遣隋使に始まる2世紀半の隋唐交渉を時系列的に追うばかりの記述が基本とされるのかもしれないが、それでは読者の視線が散漫になる。本書は遣唐使の入門書として過不足ない内容になっていると言えよう。中途にコラムをはさみ、読者が文字の羅列に倦まないような配慮も見せる。参考文献と索引も備えるのは有り難い。新羅の遣唐使には刮目!好著。2022/08/27

isao_key

4
この本はアジア諸国から見た全体の中での日本の遣唐使という位置づけを見るユニークな書。この当時アジア諸国はみな中国に留学生、留学僧を送っていたが、日本人留学生の数は他国に比べて少なかった。これは地理的に離れていたことを逆手にとって、あえて日本が中国にとってつかず離れずの態度を外交上とっていたからだと指摘する。このことは道教がなぜ日本に受け入れなかったにもつながる。道教の開祖、老子は唐の帝室の祖ということになっており日本に組織的に持ち込むことになると、唐の帝室の祖先を拝むことになるので意図的に入れなかった。2012/10/15

印度 洋一郎

3
著者によると、大正期以来進展していないらしい遣唐使の研究を改めて検証。奈良時代後期の遣唐使の記録を中心にしながら、「遣唐使船の脆弱な構造」や「遣唐使は航海技術が低かった」などの通説に疑義を唱える。「構造」に関してはいわゆる中国のジャンクで、当時の東アジアの他の国の船と特に違いはないらしい。しかし、島国という地理的条件や日本の政策もあって、間隔が開いていたので一回の航海に過重積載が多かった。そして、唐側の行事から逆算して出航しなくてはいけないので気象を無視する事もしばしば。難破の多さはこの辺にあるようだ。2022/05/17

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