内容説明
世界に例を見ない特異な道をあゆんできた日本の原子力―GHQによる研究禁止、突然の原子力予算出現とその後の「社会主義国的」発展、そして今、転換炉、増殖炉の相次ぐ中断―政治、経済、外交、軍事、研究を巻き込んだ渦のなかの60年とこれから。
目次
第1章 日本の原子力開発利用の社会史をどうみるか
第2章 戦時研究から禁止・休眠の時代
第3章 制度化と試行錯誤の時代
第4章 テイクオフと諸問題噴出の時代
第5章 安定成長と民営化の時代
第6章 転換期を迎えた原子力開発利用
第7章 日本の原子力開発利用に関する歴史的評価と改革構想
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
taming_sfc
1
吉岡斉先生による1999年の著作。日本における原子力発電の歴史を丁寧に歴史的叙述により明らかにした名著。出版後十数年経っても、本書の分析枠組みの新鮮さ・妥当性は色あせることはない。本書の特徴は、なんといっても戦時研究時代から1990年代中葉に至るまでの日本の原子力発電の歴史を丁寧に追っていることである。この中でも特に有意義な分析は、通産省と科学技術庁の二つのサブ・システムが競争しながら原子力行政を引っ張っていたという分析である。最終的に経産省があれほどの職権を得るに到った理由がわかる。必読の書。2011/08/05
千葉さとし
0
ちょっと読むのに手間取ったけれど、間違いなく核の平和利用の日本的展開を考える上で押さえておきたい良書です。確かに正力や中曽根は大きい役割を果たしたのだろうけれど、それ以上に日本の官僚システムの盲目的自走性とでも言えそうな特徴がなければここまで多くの原発が狭い地震国に作られることはなかっただろう、と思わずにいられない。なお、現在本書の新版が出ていますので、これから読まれる方はそっちをお勧めします。現状を踏まえた補遺があるようならそちらも読もうかと思うほど、妥当な歴史へのアセスメントが行われていますので。2011/10/27
yagian
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この本、みんな読んだほうがいいかも。2011/06/16