朝日選書<br> アイヌ民族と日本人―東アジアのなかの蝦夷地

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朝日選書
アイヌ民族と日本人―東アジアのなかの蝦夷地

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  • サイズ B6判/ページ数 297p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022596109
  • NDC分類 211
  • Cコード C0321

内容説明

蝦夷の地に独自の文化を育んだ人びとの歴史は、日本を写す鏡…。農耕定住民こそ国の礎と考えた和人統一権力にとって、狩猟・交易にたずさわる者たちは、常に“まつろわぬ民”にみえたのである…。現代以来の日本人との関係を通観する。

目次

序章 東アジアの視野のなかで
第1章 近世蝦夷地の歴史的前提
第2章 アイヌ民族と幕藩制国家
第3章 蝦夷地の開発とアイヌ社会
第4章 東アジア物流のなかの蝦夷地
第5章 蝦夷観と華夷意識
第6章 近代化のなかの国家と民族
終章 「北門鎖鑰」史観をのりこえる

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaizen@名古屋de朝活読書会

103
朝鮮、琉球、蝦夷を三国通覧図説などを紹介し、関係を叙述。参考文献多数。東アジアをどの範囲に取るかにもよるが、フィリピン、台湾、沖縄にかけての南方と、オホーツク、樺太、北海道にかけての北方の関係を対称的に整理してもらえるとありがたい。2014/09/14

skunk_c

61
ざっくり読んであった本を久々に通読。序盤は「蝦夷」についてで、ヤマト側の概念としての「北の夷人」であると当時に、アイヌ自体が東北にも居住していたことを下北などの地名の分布から明らかにする。中心テーマは特に江戸期の和人たちのアイヌ社会への進出と、それによって起こる変化であり、国家概念のないアイヌ社会へ、幕藩、さらに明治になると国家という暴力装置を持ち込んで、彼らの経済や文化を破壊し、「国防」の名の下に「土人」という劣位なものと位置づけた上同化政策を行う。アイヌ民族支援法制定前の著作なので厳しい指摘が続く。2022/11/09

印度 洋一郎

6
古代の蝦夷から、日本列島の北方の民の系譜を近代まで概観。奥州の蝦夷は大和王権の侵攻が続く中、支配下に入って農耕を行い和人化していく者もいれば、自分達のアイデンティティを守るために北へ逃げていく者もいた。この北へ逃げた者達は、元々北に暮らしていた者達と共に、後世「アイヌ」と呼ばれるようになった、と考えられている。平安時代、服属した蝦夷の一部は西方各地へと強制移住させられたが、近江(滋賀県)で発見された鎌倉時代の仏像に入っていた文書によると、数百年経った時点でも未だに移住者の子孫は「エミシ」と呼ばれていた。2023/04/05

てれまこし

4
学術論文ばかり書いてきた歴史学者が一般人向けに書き下ろしたもので、大変密度が濃いお買い得な一冊である。蝦夷と呼ばれた人たちの一部は日本人に同化し、他の一部はオホーツク文化圏との接触を通じて今日のアイヌとなった。もし帝国主義が、植民による資源開発を異民族の支配の上に行うものであれば、日本も西洋列強に手本を示してもらうずっと以前から帝国であった。否、日本という国の形成自体が帝国主義の結果でもある。国民国家そのものに帝国の要素が含まれているとすると、ナショナリズムと帝国主義の境界線自体もまた相対化されてしまう。2018/03/13

雲をみるひと

3
アイヌ関係史。主に文献を用いた考証でもあり古代、中世より近代が主テーマ。特に江戸時代後半におけるロシア南下という当時の国際情勢も踏まえ幕府が蝦夷地をどのように統治、経営したかが詳しく論じられている。江戸幕府に集団植民のようなアイデアを持った人間がいたことに驚く一方、個の政策に主体性、大局観が欠けていたことがわかる。歴史は繰り返すといったところか…2018/06/28

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