内容説明
なよやかな美少女を登場させた錦絵、控えめに語る少女の「珠玉の維新史」、動乱の幕末を静かに記録した主婦の日記などから浮かび上がる隠された江戸のこまやかな日々。江戸を読み、書き、生きた娘たちの軽やかな心性を探る新鮮な書き下ろし論考。
目次
1 「女語り」する才女たち―父・娘コンプレックスの所産(父になり得ぬ娘の歎き―只野真葛『むかしばなし』;父の「江戸」・父の「東京」―今泉みね『名ごりの夢』;江戸の夕ばえ―娘らの瞳の中の残光)
2 娘たちの変貌(「娘」というヒロイン―浮世にざわめく娘たち;規範・逸脱、そして願望;猶予期間の使い方―女芸・読み書き・江戸の水)
3 もう1つの「女語り」―娘がたりの補いとして(静かな幕末―川合小梅『小梅日記』)