内容説明
思想と技術の産物、建築を通して、日本の近現代文化の深層をえぐる。巻末に、昭和の代表的建築63を紹介。
目次
序章 未完の英雄譚(三島由紀夫の嘆き;茶畑のなかの「日本」;近代の「進化」と「深化」;帝冠様式への道;建築の世界における「未完の英雄譚」)
第1章 貧困の哲学(神奈川県立近代美術館;近代建築のマイルストーン;焦土に立ちて;ヒューマニズムの建築;疑似近代建築;テクニカル・アプローチの果てに;折り目の建築;豊かさとは何か)
第2章 塗り込められた日本(土門拳記念館;なぜ塗り込めるのか;丹下の広島;伝統論争の功罪;縄文の終焉;奇面の塔;第三の男)
第3章 日本趣味を超えて(都市計画家は自転車に乗って;「西欧」と「アジア」;「日本―の―建築」をめざして)
終章 反昭和の建築家(裏返ったカード;ARATA ISOZAKI)
付章 昭和の建築
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
塩崎ツトム
3
刊行は自分が生まれる前で、当時は今の都庁舎もできていなかったけれど、今の視点で読んでも面白い。さて、21世紀の、阪神大震災、東日本大震災の二つを経験した今の日本に、英雄は必要なのでしょうか。2017/04/03
伊藤康人
0
著者の論述を愉しむよりも、昭和以降の日本建築史の勉強として読む方がいいのかな、というのが率直な感想。象設計集団が名護市庁舎のコンペで勝ったことに対する社会的意義についての論述など、いくつか興味深い内容もある。昭和の日本における近代建築について、時系列に沿って読める本。2014/08/21