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  • サイズ B6判/ページ数 249p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022512437
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

2018年、東京は大量の移民であふれ、彼らが使う仮想通貨は日本政府の手が及ばない無税の地下経済圏を生んだ。Webエンジニアの巧は、地下経済のシステム構築を請け負ううちに、地下側と政府の暗闘に巻き込まれていく。驚愕の近未来小説。

内容説明

二〇一八年、日本は二つの経済構造を持つ国になっていた。移民の流入とともに浸透したデジタル仮想通貨「N円」での取引は、税務当局に捕捉されない無税の地下経済圏を生み、表の社会が無視できなくなる規模に成長していたのだ。その一方、「公平な税制」の名目で引き上げられた税金は社会を二つの階級に引き裂き、企業の正社員にならなければ地下経済に生きるしかない状況を生んでいた。木谷巧は、そんな企業の外で働いて生きる「フリービー」と呼ばれる存在。ITエンジニアとしての技能を活かして、中小企業の商売をN円の無税取引に改造する仕事で報酬を得ていた。ある日、巧はとあるWebの改造を引き受けるが、それは表と地下、二つの巨大経済圏を揺るがす事件の始まりだった―。日本SF大賞受賞作家が描く、驚愕の近未来。

著者等紹介

藤井太洋[フジイタイヨウ]
1971年鹿児島県生まれ。2012年に個人で電子書籍『Gene Mapper』を発表してデビュー。2015年、『オービタル・クラウド』で第35回日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Yunemo

52
電子書籍から実体本への真逆のコースですか、味わい深さが募ります。背景の地下経済の活発化、もう間違いなくリアルな世界になりつつあります。東京オリンピック誘致と引き換えのTPP労働力流動化条項、これにより移民の活発化が図られ2018年東京の状況に。この感覚、身につまされます。日本経済の二重化、「表」と「裏」経済、今この時代にもその兆しがみられます。一体通貨というものをどう捉えればいいのでしょう。この仮想通貨の概念は間違いなく受け入れられるもの。何となく暗さを感じる未来に、善をベースにした3人の人物設定に共感。2015/05/17

harass

45
初読み作家。移民に解放された近未来の日本、仮想通貨の闇通貨が普及していて混乱もあるが活気に満ちた世界で生きる若者を描く。二部形式であるが一部のみ読了。IT関連の用語が平気ででてくるが使い方が間違ってないことに感心(そうじゃない小説の多いこと……) SFではあるが明らかに一般向けでテレビドラマを見ているような軽みを感じる。設定をさりげないテクニックで読ませるのはなかなか上手い。いつも借りる図書館にはこの作家の作品はこれしかなく、消極的にこの本を選んだせいか、途中で読む気が失せてしまい返却。2016/10/27

ちよりる

39
「オービタル・クラウド」「ビックデータ・コネクト」と読んできた藤井作品ですが、間違いなく今作品が1番読みやすかったです。連作中編2編だったからかな。移民を受け入れ、貧富の差がより明確になった近未来の物語は、今わたしたちが生きる世界の先にも確かにあるかもしれない姿だと思いました。女性キャラが「オービタル…」の時と似たエキセントリックなタイプだったのが少し残念かも。続編がありそうなラストだったので、期待したいですね。2017/10/22

RIN

32
2013年初出の2018年近未来小説。東京オリンピックが決まり外国人労働者受入れを決めた日本。大量の移民を受け入れることになり、彼ら独自の地下経済システムが出来上がっている。それが仮想通貨N円。この経済システムが普及した社会を前提に、移民や正規雇用から外れた若者たちのビジネス展開を描く。もう過ぎてしまったのだが、現実はここまで追いついていない。だが、こんな未来はすぐそこまで来ているのかもしれず、あるいは私の知らない世界が日本に既にあるのかもしれず。緻密な描写が真骨頂の藤井さんならではのリアリティがある。2019/07/17

ぽんすけ

21
初出2014年で当時2018年という超近未来を舞台にした作品。移民の大量流入により浸透したデジタル仮想通貨「N円」が主役。次第に国民の中にも格差が生まれ始め持つ者と持たざる者の違いが顕著になってくる。登場人物たちはほとんど後者。このN円を中心とした地下経済の中でしぶとく生きていく姿が描かれている。藤井さんの作品は現実に近いものが多くリアルで怖くなってくる。登場人物たちは皆アグレッシブでたくましく国籍なんか関係なく、ずぶとく生きる術を見つけて生活していくんだろうな、だけど私は多分この世界に順応できないなw2020/12/10

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