出版社内容情報
【文学/日本文学評論随筆その他】明治維新の前年に生まれた漱石、紅葉、露伴、子規、そして一つ年下の北村透谷。明治の第1世代の群像を、彼らの作品読解を通して活写する「近代」「文学」論の完結編。西洋由来の「近代」を受け入れた日本人が、「近代」によって失ったものとはなんなのか?
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shouyi.
5
明治時代の文学のとらえ直しをする、シリーズの完結編。この巻では、北村透谷と幸田露伴を中心に論じている。名前は知っている、代表作もそのあらすじもだいたいわかる。その人の当時の立ち位置も。でも、全く話っていなかった。気持ちの良い程(負け惜しみでなく素直に)そう思い、少なくとも『五重塔』は読もう、読みたいと心から思った。そうした自分の認識を大きく変えたシリーズだった。 改めて橋本治さんの死を惜しむ。残念だ。2020/04/09
小鈴
4
正直言って二巻までの言文一致体の始まりと成熟までの内容で良かったのではと思う。三巻の最後は近代日本文学のチグハグさを前近代/近代のタームで語るんだけど余計な感じがするし、北村透谷が長すぎる。思想よりも文体のフォーマットに絞った方が読みやすかったかな。「文語体の前近代から口語体の近代へと進んで、男達は知らぬ間に厄介なものを背負い込んでしまう。その胸の中には『まだ説明しきれていない』という曖昧なものが潜んでいる。60-61」2015/01/10
ひろゆき
2
著者曰く、前の二巻からのUターン。で、北村透谷、尾崎紅葉、幸田露伴、正岡子規など登場の文学史。北村透谷が中心の前半では、透谷自身の揺らぎのため、著者もお手上げの感。後半から終章にいたる天才・幸田露伴、特に『五重塔』の読解において、著者の切れ味に圧倒され、前二巻の興奮が甦る。2016/02/18
hasegawa noboru
0
考えながら書くかのような橋本さんの文体は、読みながら蒙を啓かれること大の文体である。その守備範囲の広さ。帰っていく前近代(清)があった点を除くと「坊ちゃん」は「猫」であるから始まって、「近代の皮をかぶった前近代の女」に翻弄される男「三四郎」の漱石解説。明治二十五年、露伴の『五重塔』が立派な近代小説になってしまっている所以など、例によって鮮やかな分析ぶり。感服。2014/11/03
さんた
0
明治時代の大人って、当然江戸時代に生まれた人達だから、いきなり近代人に変わるわけない。とすると、近代人って明治に生まれた人達の子どもたち、つまり大正から昭和初期生まれの人達からいうのかなと思いました。 近い…。2018/02/11