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ことり

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  • サイズ B6判/ページ数 249p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784022510228
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

"12年ぶり、待望の書き下ろし長編小説。親や他人とは会話ができないけれど、小鳥のさえずりはよく理解する兄、そして彼の言葉をただ一人世の中でわかるのは弟だけだ。小鳥たちは兄弟の前で、競って歌を披露し、息継ぎを惜しむくらいに、一所懸命歌った。兄はあらゆる医療的な試みにもかかわらず、人間の言葉を話せない。青空薬局で棒つきキャンディーを買って、その包み紙で小鳥ブローチをつくって過ごす。
やがて両親は死に、兄は幼稚園の鳥小屋を見学しながら、そのさえずりを聴く。弟は働きながら、夜はラジオに耳を傾ける。静かで、温かな二人の生活が続いた。小さな、ひたむきな幸せ……。そして時は過ぎゆき、兄は亡くなり、弟は図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて持ち歩く老人、文鳥の耳飾りの少女と出会いながら、「小鳥の小父さん」になってゆく。世の片隅で、小鳥たちの声だけに耳を澄ます兄弟のつつしみ深い一生が、やさしくせつない会心作。"

内容説明

世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。

著者等紹介

小川洋子[オガワヨウコ]
1962年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。91年「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』で本屋大賞と読売文学賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

631
どこまでも孤独で、寂寥感に満ちた物語。ポーポー語という響きもまた、作品世界に寂しさを添える。兄とこの世界とは、ただ一点"ポーポー"においてのみ接点を持っていた。弟には、最初は兄、その後は図書館司書や幼稚園の園長等との人間的な繋がりは、かろうじてあった。やがてはメジロだけになるが、それでも彼は不幸ではなかっただろう。では、幸福だっただろうか?人間は社会的存在であることから免れることはできないのだろうか。彼ら二人は、けっして愛を拒絶しているわけではないが、愛からは拒絶されているかのように見える。2014/11/02

遥かなる想い

430
小川洋子12年ぶりの書き下ろし長編小説。 兄と弟だけの言葉..小川洋子の小説は「喪失」をテーマにした本が多いような気がするが本書は他の人とは言葉の会話ができない兄と、小鳥を愛した弟の、最初から世間との繋がりが希薄で、ある意味静かで「しんとした」小説である。そこには最初から喪うものはなく、潔い。 兄が死に残された弟の静かで穏やかな生き方は 静謐な世界であり、司書との淡い恋も慎み深いやりとりに留まっている。「小鳥のおじさん」の一生は幸せな一生だったのだと思う。2013/06/30

風眠

402
小鳥の小父さんと呼ばれた人の一生を、ひっそりと美しい文章で綴った物語。生きた証を遺すような人生ではなかったけれど、日々を生きて一生を全うした市井の人の姿がそこにある。小説の主人公としては少し平凡すぎるけれど、時代が移り変わって、世の中の価値観が変わっても、自分を貫き日々を静かに生きた小父さんに心打たれた。そして(おそらく障害を抱えた)ポーポー語を話す兄が亡くなってからの小父さんの日々に訪れた、世の中の急激な変化と現実の残酷さに、寂しくなる。たぶん私も、誰の人生も、晴れの日ばかりじゃない、けれど生きていく。2013/04/26

青乃108号

336
小鳥の話ではなく、小鳥を愛したおじさん【ことりのおじさん】の優しい物語だった。【ポーポー語】しか話せなくなったおそらく発達障害の兄と2人ぐらしのおじさん。おじさんはゲストハウスの管理人の仕事をしながら兄の世話をし、幼稚園の鳥小屋を毎日掃除する。そんなおじさんにも発達障害の片鱗が見てとれる。ある日立ちよった、図書館分館の司書にほのかに寄せるおじさんの心情が切ない。おじさんは怪我をしたメジロを献身的に手当てし、元気になったメジロの鳥籠を抱きながらようやく解放される。良かったね。おじさん。2022/05/23

たー

240
小川洋子ワールド全開だなぁ。良い話だなぁ…2013/05/26

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