大津波と原発

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  • サイズ B6判/ページ数 119p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022508744
  • NDC分類 369.31
  • Cコード C0095

出版社内容情報

3.11から約3週間後、文明史的観点から震災と原発事故を論じた鼎談を緊急出版。原発専門家はリスクの全貌を知っていたのか。そもそも原発とは「一神教的」文化の産物ではないのか。原発推進に一役買った「エコ」ブームの破綻と、それに代わる知の枠組み、政治的ムーブメントとは? 刺激的な対話が、復旧ではない真の復興への道筋を示す。Ustreamでも配信された「ラジオデイズ」番組の書籍化。

内容説明

未曾有の震災後に浮かび上がる、唯一神のごとき「原発」。原子力という生態圏外のエネルギーの憤怒に、われわれはどう対峙し、無惨に切断された歴史を転換させていくべきなのか。白日のもとに晒された危機の本質と来るべき社会のモデルを語り尽くす。

目次

1 未曾有の経験をどう捉えるか
2 津波と原発事故はまったく異なる事象である
3 経営効率と排除される科学者の提言
4 原子力エネルギーは生態圏の外にある
5 原子力と「神」
6 「緑の党」みたいなものへ
補 私たちはどこへ向かうべきか―質疑応答に関連して

著者等紹介

内田樹[ウチダタツル]
1950年、東京都生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、神戸女学院大学名誉教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。著書に『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書、小林秀雄賞)、『日本辺境論』(新潮新書、新書大賞二〇一〇)など

中沢新一[ナカザワシンイチ]
1950年、山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。人類学者。著書に『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)、『森のバロック』(読売文学賞評論・伝記賞)、『哲学の東北』(斎藤緑雨賞)、『フィロソフィア・ヤポニカ』(伊藤整文学賞評論部門)、『カイエ・ソバージュ全5巻』(5巻で小林秀雄賞)、『アースダイバー』(桑原武夫学芸賞)など

平川克美[ヒラカワカツミ]
1950年、東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業。1977年、翻訳サービスと日米IT関連企業へのローカライズサービスを提供する「アーバン・トランスレーション」設立。1955年、ビジネスサポートを主業務とするBusiness Cafe,Inc.(シリコンバレー)設立に参加。2001年、「株式会社リナックスカフェ」設立、現在、代表取締役。2007年、「ラジオカフェ」を創業、同社取締役プロデューサーとしてラジオパーソナリティーを兼務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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Gatsby

34
平川氏の言うように、原子力は誰ひとり責任を取れない技術だったのだと思う。しかしながら、私自身も内田先生の言う「狼少年のパラドクス」に陥っていなかったのかと考えてしまう。また、「人間は自分の愚鈍さを勘定に入れる習慣がない」というのも耳の痛い指摘である。後で振り返ってみると、今まで何もなかったのはたまたまだったな、と思うことがよくある。しかし、それまでにも「このままではまずいのではないか」と思えるようなことがあったはずでは。そこで軌道修正できていないのは、私たちの愚鈍さなのか…2011/05/22

Yusuke Oga

27
しきりに「文明史的な視点」という言葉が口にされているのが印象的だった。まさに、いま社会に欠けているのはこの、細切りでない、長期的な、ゆったりとした姿勢で問題を考えることなのかなあ、と思った。議論が紛糾すると、とかく自分と違う考えの相手の意見を是正しよう、というか潰す、みたいなまったく猶予のない空気がそこここでみられるけど、それはもしかして原発の問題だけではなくて、ある時期からの日本人のあらゆる傾向としてとらえるべき問題で、その結果が、たまたま「原発」といういちばん厄介な形で「ぼん」と現れてしまったのかも。2014/12/14

Maiラピ

21
今回の未曾有の経験により日本人に起こる、起こったイデオロギーのパラダイムシフトの在り様、これからの思考の指針みたいなものが知りたかったのだけど、ちょっと内容は違ったみたいです。『太平洋戦争の敗北でも折れなかった“なにか”、今度こそボキっとくじけて・・・』え~太平洋戦争の敗北よりも大きな変化があるとは思えない。 『ぼくの考える“緑の党”の旗には、宮沢賢治と紀州の南方熊楠が描かれるんだ。』うんうん(^'^)2011/06/17

くろほ

18
原発事故の本質は現代日本人の「よくわからないもの」に対する畏怖の欠如。原発は日本人が扱いなれていない一神教の神である。ふつうの人ではたぶんちょっと思いつけない発想だなぁ。世の中の表層的な動きに惑わされずに、その本質をじっくり考えることの大切さがわかる。頭がほぐれました。2011/06/01

佐島楓

17
大震災から半年以上過ぎましたが・・・。内田先生の発言が少なくてちょっとがっかり。「原子力と神」の箇所が一番面白かった。人類は自分たちのことを過信しすぎだし、特に日本人は自然への畏怖の心を忘れすぎてしまった。「緑の党」、やりましょうよ。 2011/10/08

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