出版社内容情報
「アイルランドにあるのは、無気力、空元気、天才的な幻想、
雄弁。また家々や谷々にいる妖精……」ロンドン、リヴァプールを経て、
ケルト人の住む辺境の地、アイルランドへ。隣国イギリスとの長く苦い関係から、
ヨーロッパ文明の光と陰を探る。10.5ポイントという大きな活字によって身近になった
司馬遼太郎の世界。詳細な地図や当時の雰囲気を表す写真を多数収録。
巻毎の索引など、特色あふれる編集による新シリーズ。
目次
ケルト人
ギリシア・ローマ文明の重さ
ケルトの妖精と幻視
“鯨の村”ホテル
明治の悲しみ
紳士と浮浪者
いまは昔
駅舎・空巣
リヴァプール到着
ビートルズの故郷〔ほか〕
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923年大阪府生まれ。大阪外事専門学校(現大阪外国語大学)蒙古科卒業。60年『梟の城』で直木賞受賞。75年芸術院恩賜賞受賞。93年文化勲章受賞。96年死去。主な作品に『国盗り物語』(菊池寛賞)、『世に棲む日日』(吉川英治文学賞)、『ひとびとの跫音』(読売文学賞)、『韃靼疾風録』(大佛次郎賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tadashi_N
28
距離が近いにもかかわらず、宗教的な理由で、となりの国とは大きく違うことが驚き。2018/09/22
くみ
15
アイルランドは行ってみたい国のひとつです。司馬さんの紀行文はエッセイというより論文のよう。旅先のできごとですが、ひとつひとつの文献的裏付けを取りながら書いている、という感じです。そう、司馬さんの場合裏付けは全て書物。ビートルズを体感するのに、「彼らの音楽を聞かず関連文書を読んで体験する」と言い切るほど。なので比較文化論として素晴らしいと思う。そして私の中ではアイルランドは質実剛健、素朴というイメージでしたが、意外と感情的、衝動的な面も強かったりするとあり驚きました。自分が実際訪れたらどう感じるんだろうな。2021/10/30