内容説明
日本国憲法が公布・施行される一九四六‐四七年に発行された三つの小冊子。中学一年生用の社会科の教材「あたらしい憲法のはなし」。全国の二千万家庭に配布された憲法普及会編「新しい憲法 明るい生活」。法制局閲、内閣発行の「新憲法の解説」。政府は新憲法を普及させるために、これほど熱意をもって啓発活動をしていた時代があった。
目次
新しい憲法 明るい生活(新しい日本のために―発刊のことば(芦田均)
新憲法の特色―私たちの生活はどうなる)
あたらしい憲法のはなし(憲法;民主主義とは;国際平和主義 ほか)
新憲法の解説(総説;前文;第1章 天皇 ほか)
著者等紹介
高見勝利[タカミカツトシ]
1945年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、法学博士。九州大学教授、北海道大学教授、国立国会図書館専門調査員などを経て上智大学法科大学院教授。憲法学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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48
日本人の多くは今日が何の日か忘れている?本書は九条の軍隊を持たないことについてこう記している。【日本は正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません】本当だろうか?改憲派は【自衛力を持たない国なんて無い】と主張。護憲派は【改憲は戦争が出来る国になること】と述べる。しかし明確な意見を持っているのは一部のみ。国民の多くは正直【どうでもいい】。選挙にも行かない。だから憲法の【国民的議論】なんて無い。無批判なまま【カルト与党】に投票する。これが現実。2023/05/03
きいち
36
「みなさんの中には、こんどの戦争に、おとうさんやにいさんを送りだされた人も多いでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとうとうおかえりにならなかったでしょうか」◇始まったばかりの社会科の副読本だった表題作、2000万部が配布されたパンフなど、46~7年に政府が出した3編。構成、文章、挿絵すべてから、その時代の雰囲気と関わった人々の本気度がひしひしと伝わってくる。◇憲法の中身の議論はすればいい、でも真摯に「雨降って地固まる」状態を実現しようとした彼らの志を軽んじることは許されないと改めて思う。2016/09/12
Takao
6
2013年9月18日(2015年5月7日、第3刷)発行。憲法普及会編『新しい憲法 明るい生活』(1947年5月3日発行)、文部省『あたらしい憲法のはなし』(1947年8月2日発行)、法制局閲・内閣発行『新憲法の解説』を収録し、編者による「解説」が付されている。巻末に、大日本帝国憲法、日本国憲法(英文対訳)も掲載。GHQの働きかけもあり、当時、新憲法普及のために政府関係者が努力していたことを知った。内容的には、政府が国民を「啓蒙」しようとしている印象を受けた。当時の政府の考え方がよくわかる。2016/07/03
lily
4
あたらしい憲法のはなしは既知だったが、その他二篇は参考になった。憲法普及会の頑張りがよく分かるが、中学生の授業で使うにはちょいと難しめ。関連書籍にあたりたい。2015/11/25
ことぶき あきら
4
1948年から2年間、中学1年の社会科教科書として使用された「あたらしい憲法のはなし」読んだことはなくても、その戦争の放棄を表した挿絵(戦争放棄と書いた大きな釜の中で軍艦や軍用機を燃やし、その中から新しい船、電車や消防車が出てくる)は今の社会科の教科書にも載っていて、誰でも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。中学1年生には少し難しいかもという印象でしたが、日本国憲法の考え方についてやさしく書かれており、これから日本国憲法について知りたいという方にはぴったりの本だと思います。2015/06/20