内容説明
なぜ日本人は死ぬまで働くのか。なぜ過労死は依然として減らないのか。本書は過労死問題の第一人者がこの四半世紀を踏まえて、働きすぎのメカニズムを検証する。労働時間について、会社のあり方について、その実態を正確につかむことがまず求められている。過重労働とストレスがもたらされる要因を具体的に解明し、過労死・過労自殺をなくす方策を展望した本書こそ、全勤労者とその家族必携の一冊。
目次
序章 過労死が社会問題になって四半世紀
第1章 企業中心社会はいかにして成立したか
第2章 日本的働きすぎと労働時間の二極分化
第3章 賃金不払残業の手法と実態
第4章 日本的生産システムと過労死
第5章 仕事で命を奪われるホワイトカラー
第6章 多発する若者の過労自殺と大学生の就活自殺
終章 過重労働対策と過労死防止運動
著者等紹介
森岡孝二[モリオカコウジ]
1944年大分県生まれ。香川大学経済学部卒業。京都大学大学院経済学研究科博士課程退学。経済学博士。83年より関西大学経済学部教授。企業社会論・労働時間論。株主オンブズマン代表、大阪過労死問題連絡会会長、働き方ネット大阪会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
26
多様な労働問題を取り上げておられる。 中でも、異常に長い日本の在社時間(89頁~)。 これは、改善の余地がある。 なぜなら、ドイツは年間総実労働時間は日本より 短いのに、日本の次点に付けているからである。 サービス残業はサービスでも何でもないので、 賃金不払残業が多用(132頁)というのは納得。 電通鬼十則を引用した、カルビー鬼十則がある。 「取り組んだら放すな。殺されても放すな。目的完遂 までは」という戒めとのこと(151頁)。 世界のTOYOTAも過労死しているようでは、 2014/04/15
sk
6
社会問題としての過労死を直視。2020/01/03
どら猫さとっち
5
まだ過労死問題は終わっていない!!なぜこの国は、死ぬまで働かないといけないのか。近年は、若年層の過労自殺が増えている。その原因と過労死または自殺をなくす対策が、本書にある。またそれを知ることが、人間らしい働き方とは何かを考えるきっかけになるはずだ。今野晴貴『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』(星海社新書)とあわせて読みたい、過労と労働についての必読書。2013/09/16
RmB
4
過労死、サービス残業の陰には、うつ病など心が壊れてしまった人たちが大勢いるのでしょう。健康に生きるために働くはずなのに、これでは仕事にというか会社に殺されているようなものじゃないでしょうか?なにもかも企業の論理がまかり通っているのが、いまの日本だと思います。2013/11/10
ポルターガイスト
3
同シリーズの熊沢誠の著書に比べると概説的な過労死研究。扱われている知識にそう大きな差はない。くどさはあるかもしれないがリアリティに富む熊沢本のほうが個人的には好き。またどちらの本も第二次安倍政権以前の経済状況しか扱えていないので情報の古さは否めない。どちらも手堅くてこの分野に触れるにはいい本だけど。2022/09/23