内容説明
セイコーの革命的なクオーツ時計、シャープ、カシオ等の小型軽量化した電卓はいかに実現したか。世界が瞠目した日本企業の技術革新を支えた開発スタッフの汗と涙を人間ドラマとして描き出した名作。日本再生への悲願がみなぎる今こそ、先人たちの知恵と力をもう一度想い起したい。
目次
第1章 セイコークオーツの世界(疎開工場から;ゼンマイと水晶;技術戦争;クオーツ誕生;挽回;クロックの革命;限界を拓く)
第2章 電卓戦争の軌跡(二十五キロの一号機誕生;衝撃;「ドクターロケット」;「学説」信ずべからず;反撃の時;生き残り戦略;「ピッピッピ電卓」登場;人材戦争)
著者等紹介
内橋克人[ウチハシカツト]
1932年神戸市生まれ。神戸商科大学卒業。神戸新聞記者を経て、1967年から経済評論家。2006年、宮沢賢治・イーハトーブ賞、2009年NHK放送文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山口透析鉄
16
故・内橋克人氏の代表作「匠の時代」シリーズ、私は旧講談社文庫版で全部読みました。 NHK「プロジェクトX」の元ネタ的な本でもあり、こちらの方がより早い段階の著書で、MADE IN JAPANの秘密、このシリーズを読めばかなり分かりますが……同時に、大量消費・大量製造を大前提としていた仕組みの限界も、既にこのシリーズで一定、示されていたとも言えそうです。失われたン10年、まだ取り返せていませんからね。 内橋克人入門としても、また読み物としても、抜群に面白いですよ。オススメですね。2002/03/07
Hiroki Nishizumi
1
プロジェクトX的内容のドキュメンタリーは現在数多あるが、その嚆矢となったのが本書だと思う。ここに書かれているような無我夢中により良い世界を目指す価値観は大切にしたい。2024/04/02
あしばらい
0
今の日本のような閉塞感など存在せず経済成長を続けていた、昭和日本の技術発展に取材したドキュメンタリーの本。この第一巻では、セイコークオーツの世界、シャープとカシオの電卓戦争、の二部で構成されている。これらに登場する技術者達は、皆熱意を持ち、世界をアッと言わせる新しい発想や技術を生み出している。このような人材を抱える日本が豊かになって行く事も納得できるし、それを失った今の日本が停滞するのも当然なような気がしてくる。2013/01/15
LINK3000
0
20数年ぶりに再読。今、読んでも十分に面白い。今は中国やタイなどにお株を奪われているが、日本人の開発者魂は半端じゃなかった。 緒言に3.11の地震のことが書かれている。今後の行く末を心配しつつ。2011/05/21