出版社内容情報
忍術小説に熱中した少年が、なぜ哲学の研究者になったか。敗戦後の混乱期、あてどなく本を読みあさるうち、ハイデガーの『存在と時間』を読まずにいられなくなり哲学研究の道へ。約70年に及ぶ読書体験を一挙公開。
内容説明
忍術小説に熱中した少年が、なぜハイデガーの研究者となるにいたったか。敗戦後の混乱期、著者はあてどなく本を読みあさるうちにドストエフスキー、キルケゴールの著書に出会う。そしてハイデガーの『存在と時間』を読まずにいられなくなり、大学の哲学科に入り哲学研究の道へ…。難解な哲学書のわかりやすい翻訳で知られる著者の、約七〇年に及ぶ読書体験記。
目次
1 『神州天馬侠』―満洲での少年時代
2 『俳文俳句集』―戦後の混乱期と農林専門学校入学前後
3 「四人共産団」―滑稽小説にはまる
4 『無常といふ事』―詩歌の森をさまよって
5 『悪霊』―ドストエフスキーとキルケゴールを濫読する
6 『存在と時間』―ハイデガーを読みたくて大学の哲学科へ
7 『行動の構造』―現象学とメルロ=ポンティ翻訳
8 『アブサロム・アブサロム』―アメリカ文学耽溺と読書会
9 『警視庁草紙』―ミステリ三昧
著者等紹介
木田元[キダゲン]
1928年山形県生まれ。東北大学文学部卒業。中央大学名誉教授。哲学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
30
2003年初出。漱石、芥川の全集を読まれた(39頁)。毎晩漱石を読んだという。農林専門学校に入るも農業の勉強をする気は端っからない(57頁)。専門を間違えるということだろう。私もそんな気もしている。図書館学ではなくて、読書学、読書技術論があってもよいと思う。ドストエフスキーに目覚めた著者。『悪霊』『白痴』『カラマーゾフの兄弟』『永遠の夫』『未成年』『地下生活者の手記』『貧しき人々』『死の家の記録』『虐げられた人々』(114頁)。20代半ば、実力がありながら発揮する場がないという絶望の時代(115頁)。 2014/11/27
fuku66
13
読書遍歴を通じて著者の半生が語られる。私も著者と同じく乱読家なので、共感するところは多かった。なにより著者の読書暦70年を振り返った感想がポジティブなものでよかった。2010/09/25
ひろ
6
基本となる本をじっくり読み込むこと。分からなければ分かるまで、分かるように読むこと(周辺の易しい本などを駆使したり)が大事。…あぁ、また読めもしないのに『存在と時間』が気になりはじめてきた。。。読めるように努力せねば。。。2016/10/10
さえきかずひこ
6
生まれ変わったら、木田元のような人生を送りたいと思わせられるたのしい一冊だった。2013/08/26
むむむ4yyk
5
滑稽小説好きで真面目な哲学を書いていてもどこかふざけてみたくなるというのに笑った。「反哲学史」と書いたのは木田さんのユーモアか。 安部公房の榎本武揚も出てくる。2012/04/21