出版社内容情報
47年前の女子高生殺人事件の被告として、今も石川一雄氏の再審を求める闘いは続く。第一審死刑判決後まで氏が女子高生殺害の自白を維持したのはなぜか。長時間インタビューで事件の謎に初めて肉薄する衝撃作。
内容説明
四七年前の女子高校生殺人事件の被告とされ、今もなお再審を求める石川一雄氏の闘いは続く。当初全面否認した石川氏が、第一審死刑判決後までは女子高校生殺害の自白を維持したのはなぜか。本書は長時間インタビューで石川氏の内面に迫り、虚偽の自白を強いられた事情と典型的な冤罪事件に隠された謎を初めて明らかにした衝撃のルポ。再審開始は実現するか。今なお注目の事件を知る上での最良の一冊。
目次
第1章 女子高校生、誘拐される
第2章 別件逮捕と別件起訴
第3章 子どものころから働いてきた
第4章 涙ながらに自白するまで
第5章 浦和地裁・死刑判決
第6章 私は殺していない!
第7章 見送った死刑囚と文字の獲得
第8章 不思議な「証拠物件」
第9章 東京高裁・寺尾判決
第10章 自分で書いた上告趣意書
終章 「視えない手錠」をはずすまで
著者等紹介
鎌田慧[カマタサトシ]
1938年、青森県に生まれる。ルポライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HERO-TAKA
6
再読。旧東京オリンピックの直前の事件とすれば、どのくらいの時間が流れたのだろうか。冤罪被害者と同年代の作者による、膨大な取材量による渾身のルポ。観察力の優れた作者による人に寄り添った丁寧な描写は、時代背景の説明を交えて、当時の生きる人間たちとその世界の空気がひしひしと感じられる。定期的に読み返したくなる一冊。2016/11/03
駄目男
5
著者は疑問点をいくつも並べているが、裁判所の原則「疑わしきは罰せず」のはずが「疑わしきは罰する」という極端な事例になってしまった。ともかく、帝銀事件、名張毒ぶどう酒殺人事件、狭山事件の石川一雄と量刑を巡って争っているわけではなく、真犯人かどうかの問題で検察はあくまでも死刑、弁護側は無罪を主張するわけだが、一見、不毛の論争にも見えるが、真実はひとつ、どこまで行ってもキリがないでは済まされない、実に悩ましい問題だ。2018/11/23
Ikuto Nagura
1
袴田事件が、狭山事件の再審にどんな影響を与えるか、その決定が待ち遠しい。それにしても、実に警察らしい見込み捜査と自白誘導と証拠捏造。実に裁判所らしい権威的な事実認定と判決。呆れるほど既視感のある冤罪の構図。この半世紀の人権侵害を取り返せるわけがないが、そろそろ誰かが勇気を出して、ごめんなさいすればいいのに。「それでも、石川一雄の名誉を回復させるのは、裁判しかない。彼は、かならず正しい裁判官はいると、いまなお信じている」ところで、石川さん救援を主張するオドロオドロしい立看板は、まだ大学構内にあるのだろうか。2014/08/02
ねこれんじゃー
0
何がどうしてこんなことになってしまったのか。。。 これほどまでに明白な冤罪事件が発生から50年以上経ってなお未解決であることの恐ろしさ。 んー。罠にはめて罪を押し付けた各位…どんな気持ちだったんかなぁ。もし、自分の家族がそっち側だったら?2017/07/30
たま
0
むずかしい。2014/05/19