• ポイントキャンペーン

岩波現代文庫
死刑台からの生還

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 371p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006031565
  • NDC分類 916
  • Cコード C0136

内容説明

無実の人間が殺人犯とされ死刑判決を受けるまでに何があったのか。再審を訴え続けた手紙は、十二年目にようやくある裁判官の目にとまり、事態は動き出す。そして死刑台から生還するまでの取調官や検察との攻防―。恐怖の冤罪財田川事件の息づまる法廷ドラマは、裁判員制度時代を迎えるいま、果たして冤罪を防ぐ仕組みが社会にあるのかを改めて問いかける。

目次

第1章 事件
第2章 獄窓
第3章 邂逅
第4章 再審
第5章 反撃

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

James Hayashi

33
古い事件である。名前だけは知っていたが空いた口が塞がらないほど驚かされた。四大死刑冤罪事件の一つ。 19歳で殺人は一人のみ。2ヶ月に渡る取り調べ。拷問による自白。物的証拠も危うい。控訴も上告も棄却。恩赦も検討されたが認められず。そこへ現れた奇跡ともいえる矢野裁判官。彼は定年5年を前にし、谷口氏を救出するため退官、弁護士になる。迷宮入りを恐れてか、警察が犯人に仕立てていくのはまだ解る。しかし検察、裁判官まで全く否を厭わないのは疑問である。34年以上の人生を取り上げられた青年は国家に対し何を思ったのだろう?2020/08/05

北条ひかり

5
3時間44分。音声デイジー。神奈川県ライトセンターと音訳者さんに感謝。1950年に発生した強盗殺人事件で、1957年に死刑判決が確定したが、1981年に再審が開始され、1984年に逆転無罪となった冤罪のルポルタージュ。34年間も国に拘束されたら人生は台無しです。日本の警察・検察は自白偏重のうえに、裁判でも察面・検面調書が重視されるので、今でも冤罪は起りえます。再審請求を担当した裁判官が退職し弁護人になるという、かなり滅茶苦茶なことをしていますが、かかる緊急避難的行動がなければ元死刑囚は救われませんでした。2016/10/09

Hiroshi

3
「谷口が凶器を捨てたかどうか、その真実は財田川が一番よく知っている」という弁護人の主張から名のついた財田川事件の本。死刑冤罪事件だ。昭和25年2月28日香川県財田村で闇米ブローカーと闘鶏賭博を商いとしていた被害者が殺されたことから始まる。孤絶するかのように暮らしていた村人が事件に巻き込まれ、2度3度と取り調べを受けていった。6月27日に捜査本部が解散され、特高あがりの宮脇豊警部補が捜査の指揮を取った。3月31日に隣村で強盗傷人罪を犯し有罪となった谷口繁義に目を付け、別件逮捕と拷問を繰り返して自白を取った。2017/09/13

Ikuto Nagura

2
矢野伊吉裁判官と財田川事件の死刑囚谷口繁義との邂逅と、再審無罪を勝ち取る過程は、どんなフィクションも及ばぬ奇跡的で感動的なものだった。「証拠がなくとも、カンと信念があれば、自白に追い込める」と嘯き、谷口の人生を破壊した捜査官らの栄達。検察や前任者や最高裁の顔色を窺って誤った判決を下した裁判官らの沈黙。それらに対し、正義を貫いて谷口救出を世に訴えた矢野が、法曹界から批難されながら遂げる不遇な死。財田川事件という国家犯罪を、谷口繁義の受けた不条理を、矢野伊吉というヒーローがいたことを、我々は忘れてはいけない。2015/09/12

0
この本は、うかつに開くといきなり殺人現場の写真が!そういう写真ありますってわかるようにしといてください(泣)2016/01/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/144885
  • ご注意事項