岩波現代文庫
いじめの記号論

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  • サイズ 文庫判/ページ数 290p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006031480
  • NDC分類 370.4
  • Cコード C0136

内容説明

いじめに遭った青年の手記や映画を素材に、いじめる者、いじめを耐え忍ぶ者、傍観者の心理と行動を分析する。さらにヴァルネラビリティ、有徴性、スケープゴートといった概念によりながら、特定の民族や集団に対する迫害、差別、悪の深層構造の分析へと論を展開し、文化の中の光と闇の存在を指摘して、いじめから脱出し挫折をバネにする方途をさぐる。

目次

1 「挫折」から得る
2 いじめの記号論
3 決まりと逸脱
4 今日の親子関係
5 脱教育のすすめ―自伝的学校論(1)
6 教育は対決―自伝的学校論(2)
7 文化とその痛み
8 文化の中の光と闇
9 悪の文化と魔の文化

著者等紹介

山口昌男[ヤマグチマサオ]
1931年北海道生まれ。55年東京大学文学部国史学科卒業後、東京都立大学大学院で文化人類学を専攻。東京外国語大学、静岡県立大学、札幌大学の教授を歴任。「中心と周縁」「スケープゴート」「道化」などの概念を駆使して独自の文化理論を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ダージリン

2
山口昌男らしい自由な論考。どこの社会にもある排除の論理を軽やかな語り口で鮮やかに描き出している。「いじめ」とタイトルをつけるのは誤解を招く怖れがある気がする。文化人類学者のもっと幅広い視点を堪能出来る。カーニバルに見るエントロピーの解消などは特に面白かった。人文学でエントロピーを持ち出すのは最近あまり見かけなくなったが、個人的には好きなテーマである。2015/12/13

Nabe

1
自らのアイデンティティを確保するために自分と違うものを排除する。"排除されやすい特性を持った人"がいる。不本意でも作られたいじめられっこなどという役割を演じてしまう。これらの話が印象的でした。2014/05/15

壱萬弐仟縁

1
いじめ問題は2007年にみのもんたの朝ズバッでムックが出ていた。今、大津市の問題が世間を騒がしており、本著を借りるに至った。「いじめとは、強者であり、より多数である集団が、劣っていると思われる個人を攻撃にさらすということがゆるい状態で形成されること」(44ページ)という定義。ゆるい状態というのが、傍観者を多数生む背景に思える。また、「人間が片隅のほうに押しやろうとするものが、正統の地位を次第次第に与えられてきている」(201ページ)ともあるように、疎外された者からの反システム運動という捉え方も可能か。2012/07/24

bittersweet symphony

0
山口昌男氏の社会問題についての直接的な言及があまり記憶になかったので気になって読んでみました。が、いじめ・学校問題の話題は殆どなく、それも含めていつものトリックスター論でした。社会的な安定を確保するための装置としての祝祭論・トリックスター・スケープゴート論なわけですが、近代民主主義を経由した自由・博愛・平等の精神からは乖離しているので、その辺の折り合いはどう考えても個人を犠牲にしないとつけられないですね。これは家族論や家庭論でもそうでして、多分SFの世界に踏み込まないと解決しない問題だと思います。2007/06/25

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