内容説明
圧政ゆえの悲話、それをはね返す歌謡、豊かな民俗芸能…。東京がオリンピックに沸く一九六四年、米軍支配下の沖縄で新聞社に勤める著者は、沖縄のなかでも最果てといわれた八重山から、島々の生活を歴史風土のなかで捉え返したレポートを送り続けた。後に反復帰論などで知られる著者が、復帰前の南島の根っこを見つめ、国家の虚妄を痛撃した記念碑的作品。
目次
与那国島
波照間島
黒島
新城島
鳩間島
西表島
小浜島
竹富島
石垣島
著者等紹介
新川明[アラカワアキラ]
1931年、沖縄に生まれる。1955年、琉球大学文理学部国文科を中退して、沖縄タイムス社に入社。同社八重山支局長、『新沖縄文学』編集長、『沖縄大百科事典』刊行事務局長などを経、取締役編集局長、社長、会長を務める(1995年退任)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翔亀
34
【沖縄41】八重山の各島について沖縄タイムスに連載された取材記事である。それが版を重ね読み継がれている。古くは島尾敏雄が、新しくは池澤夏樹が絶賛している。たかが33歳の駆け出し記者による新聞記事が何故?と半信半疑で読んだ。これが抜群に面白いのだ。島々の根っこに触れることができる。それは何故か。■記者は新聞社で労働組合運動のせいで八重山(支局は石垣島)に飛ばされ、無為の日々を送る中で与えられたのがこの連載。石垣島から8つの島に、それぞれ1泊か2泊の取材旅行によりレポートを書き続けた。まずもって記者の目が↓2021/12/23
Hiroki Nishizumi
2
今となっては実に貴重な記録。惹かれる内容が多く楽しく、また途中想像を逞しくしながら読めた。波多港は祖納港として大型船もつくことが出来るようになった、波照間の祖平花道は舗装されて燐鉱石はよく分からない、鳩間中森の蒲葵はやはり跡形も無いままだ。2018/08/03
ねみ
1
石垣や波照間などの島各々の文化、宗教、歴史、現在の様相をまとめたレポート。とはいえ今から4,50年ほど前のだけど。島独特の歌の背景の考察や住民への聞き取り調査が描かれているので離島の郷土調査の方法として読んでも面白い。人頭税などの悲劇を下敷きに、それを明るい風刺で皮肉っている歌が豊富に紹介されている。聞いてみるか…とようつべ探してみたけどあったりなかったりでした。消えていった歌もたくさんあるんだろうなぁ。もったいない。2013/06/11
天茶
0
★★★★2012/08/31
ymazda1
0
この表紙の写真はなんだろう?って思いながら読みすすめて、それがなんだかわかったときに感じた戦慄みたいなものを今でもよく覚えてる。。。当時の薩摩藩の人頭税を含む南島経営の実態について、もっと知りたいと思った1冊だった。