出版社内容情報
敗戦による占領開始から5年間,連合軍総司令官として君臨したマッカーサーにあて全国から送られた手紙は50万通を超える.あらゆる立場の人々の肉声がつまる時代の証言から,敗戦直後の日本人の心性と原風景を浮き彫りにする.
内容説明
国家総力戦から一転、敗戦そして軍事占領…。敗北に直面した国民はそれらをどのように受け止めたのか。連合軍総司令官として君臨したマッカーサーにあて全国から送られた手紙は約五〇万通。政治家から小学生まで、あらゆる立場の日本人が書き綴ったこの膨大な時代の証言から、敗戦直後の日本人の心性と、戦後日本の出発点の特質を照射する。
目次
身をすり寄せて
人々は招く
敢えてもの申す
護られよ陛下を
天皇を廃されよ
父として男として
感謝の贈物
贈物さまざま
私の意見をぜひ
左せんか右せんか
我に良策あり
願いごと多々
切なる願いを
著者等紹介
袖井林二郎[ソデイリンジロウ]
1932年、宮城県生まれ。早大政治学科卒業後、UCLAで政治学を研究。法政大学名誉教授。『マッカーサーの二千日』で毎日出版文化賞、大宅賞受賞。占領史、移民史、原爆問題などで評論活動
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感想・レビュー
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shusseuo
4
戦後日本人の節操のなさは坂口安吾がよくエッセイで書いていたけど、実際目の前に出されるといくら食い詰めていたとはいえ情けない。靴を舐め回す勢いのゴマスリスリスリな手紙が多い中、植えたカボチャが育ったので息子の観察日記を読んでとか、私の恩師もマッカーサーというのですがもし親戚なら連絡の橋渡しをしてほしい、競馬場で悪い事してる奴をなんとかしてなんてほのぼのした手紙も。原爆投下後の広島を描いた本を送った女性の心情には胸を打たれました。が、全体的には権威と認めた何かに縋らずにはいられない人の弱さが丸出しでトホホ2015/06/10
ほたぴょん
2
GHQの占領下、マッカーサーに宛てて当時の無名の日本国民が送った大量の手紙についてのルポルタージュ。と書くと凄く真面目な本のようであり、また実際に真面目な本でもあるが、一方で、昔の雑誌を読んだときに広告に目を惹かれるような、ちょっと俗な興味も満たしてくれて面白い。昨日までは敵国の元帥だった男でも、時の権力者と見ればおもねっていく姿はおかしくもあり哀しくもありだが、今の日本人もあんまり変わらないなあ。2019/06/19
まむし
0
戦後のブレブレな教育方針も悪かないけど、実際に当時の人たちが何を思い、何を訴えたのかは貴重。マッカーサーに対し賞賛もあれば叱咤もあり、当時の人達の色々な考えが読めるのでその上で自分の中で「戦後」を消化するための情報ソースに良いかなと。それにしてもたかだか70年弱で日本語かわり過ぎ2014/08/10