岩波現代文庫
遠いリング

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  • サイズ 文庫判/ページ数 542p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006030537
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

出版社内容情報

燃焼する人生を求めて,グリーンツダジムに通う若者たち.精神の緊迫感,勝負の熾烈さ,ジムの片隅で,無心にサンドバッグを叩き続ける若きボクサーたちの肉体の輝きに現代の青春のすべてを描ききった,渾身のノンフィクション.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

160
第12回(1990年)講談社ノンフィクション賞。 ボクシングに人生をかけた若者たちの 物語である。大阪のグリーンツダジムを 舞台にしたこの作品… ヒリヒリするような緊迫感と ほとばしるような 情熱が心地よい。 「虫に刺された男たち」が語る人生は 潔く、心惹かれる。エディと井岡弘樹、 そして 一瞬の光芒とともに 散っていった 若者たち…言葉の端々に「あしたのジョー」が 見え隠れする、昭和の骨太のノンフィクションだった。2018/12/01

kawa

33
1980年代、ボクシングに青春をかけた若者たちの光芒が眩しい秀作ノンフィクション。世界チャンピオン・井岡弘樹とトレーナー・エディ タウンゼンドとの姉弟関係も素晴らしい。が、その後に登場するグリーンツダジムの若手ボクサーたちの軌跡も読み応え有り。彼らのその後、ものすごく気になるのだが、一瞬の輝きを知り得たことだけで満足…。その後のことは下世話な興味かもだ。(第12回(1990年)講談社ノンフィクション賞受賞)2022/07/20

ランフランコ

6
凄い本だよ。このような本を読むためにノンフィクションを読み続けている。井岡弘樹時代のグリーンツダジムの8人のボクサーの話。世界チャンピオンからデビュー前のボクサーまで様々だ。井岡とエディさんの話はフィクションであれば、臭すぎるくらいにドラマチックで感動的だ。涙無しに読むことは不可能だ。その他すべての話が恐ろしいまでに人間臭い、泥臭い、そして等身大の青年たちの日常である。解説の最後の『格闘という「やさしさ」とは無縁に見える世界を、やさしさで包み込んだ』という一文がこの本を最も上手く表現している。2018/08/31

自由人

6
ボクシングというスポーツに魅せられる男達を描いた傑作。『はじめの一歩』の原点のような著作であると感じた。勝利への渇望、孤独との戦い、原料の苦しみ、生活苦。あまりにも悲惨な青春と言われてもしょうがないであろう「ボクサー」の心理とは何なのか。鮮やかに若者の一場面を切り取った傑作である。是非、一読を勧める。2009/06/10

半木 糺

5
本書に登場するボクサーは、井岡弘樹を別にすれば無名のボクサーばかりである。通読して感じたのは、著者が書きたかったのは世界チャンピオンとして栄光を手にした井岡ではなく、むしろその他の無名のボクサー達だったのではないか、ということである。井岡とエディの絆と戴冠の物語は世上に好く知られているが、本書では、それはその他のボクサーを描くための遠景、舞台装置に過ぎないのではないか、と思われた。特に第五章「青コーナーブルース」の主人公、谷内均に対する著者の暖かいまなざしは、読者の私にも心地よいものであった。2014/04/11

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