岩波現代文庫<br> たとえ病むとも

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岩波現代文庫
たとえ病むとも

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  • サイズ 文庫判/ページ数 194p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006030230
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

出版社内容情報

芥川賞主婦作家として旺盛な執筆活動とホスピスボランティアを続けていた著者に突然のがん宣告.大手術,夫の急死,再発,恐怖と悲哀のなか,死の直前まで自分らしく生きたいという意欲をかきたてて綴った2年半の闘病記.絶筆.

内容説明

自分の命が残り少ないと知った時、人は限られた日々をどう過ごそうとするのか、はたして自分の死をイメージできるのだろうか。芥川賞受賞の主婦作家として旺盛な執筆活動と、ホスピスボランティアを続けていた著者は、がんの告知を受け、この問いに直面する。さらに大手術直後にもたらされたものは夫の訃報であった…。繊細かつ豊かな感性で綴る2年半の闘病記録。絶筆。

目次

癌の告知
病院での明け暮れ
癒しの風に吹かれて
迎え火を点しながら
病むこと、生きること
老いと死をみつめて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

James Hayashi

31
芥川賞受賞(79年)作家。ホスピスボランティアとして沢山の終末期の方と関わってきたというが、ガンの告知を受ける。闘病生活を続ける中、夫の訃報を聞く。作家として残された自分の人生を書き留める。60代と決して若くはないが、悔いもあれば未練もあるだろう。元気そうに外出をし、寿司を食い海を見に出かけるが、それを最期に絶筆となっている。死と向き合うという事をなかなか学べないが、参考になった。主治医でありホスピス長は山崎章郎医師。既読の「病院で死ぬということ」を思い出した。2019/05/21

hatayan

13
ガンの告知を受けて度重なる手術に耐え、周りの人への感謝を絶やさず、ホスピスで自分らしく生ききった女性作家の闘病記。『病院で死ぬということ』の山崎章郎医師が主治医。 喪主の言葉「母はこの世の使命を全部果たし、与えられた環境と才能を使い切り、すべてに感謝しながら天国に旅立ったと思います。」主婦であった著者は、生まれつきの障害、肉親の死といった、課せられた不条理を人びとを励ますプラスのエネルギーに変え、人生に満足して幕を下ろしたと長女の重兼裕子氏は記しています。 解説は『犠牲』を書いた柳田邦男氏。2018/11/20

Sachi

7
途中で絶筆となっているけれど、清清しさがあり感動がたくさんある本でした。全部まるごと受け入れられて穏やかで自分を出し切って死んでいけたらいいなって思いました。後半は娘さんの寄稿。お互いの立場から読めるのも素晴らしい1冊だと思いました。2016/08/01

うたまる

2
「決して生を諦めているのではなく、生を放棄しているのでもない。肉体は此岸にいながら、心の奥深いところで彼岸をみつめている。現世を一所懸命に生きていながら、来世へと継続してゆく希望を失っていない」……女性作家による死までの闘病記。率直に言って、物足りない。表の顔である社長夫人、キリスト者、芥川賞作家、良妻賢母から一切逸脱せず、悟達したような明澄な随想を延々と読まされる。この曇りの無さが逆に平板で浅薄に感じられるのではないか。親族の中で唯一顔の見えない息子の嫁に、裏の顔を語って欲しいと願うのは意地悪だろうか。2022/11/12

しまん。

1
作家、キリスト教徒という理由からなのだろうか、心の落ち着きが美しく、自然や人々に対する視線が優しい。ただひょっとしたら一番の理由は末期患者であるということかもしれない。医者に患者のメンタルな領域をかぶせるのは失礼だ、という意見は一つの忘れがちな見解だと思う。2011/12/23

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