岩波現代文庫<br> 一銭五厘たちの横丁

岩波現代文庫
一銭五厘たちの横丁

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  • サイズ 文庫判/ページ数 258p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006030124
  • NDC分類 916
  • Cコード C0136

出版社内容情報

一銭五厘のハガキに召集され,横丁の兄ちゃんたちが出征する.その留守家族の写真を手に,昭和50年東京下町をひたすら歩き再現した,天皇から一番遠くに住んだ人たちの戦後史.鶴見俊輔解説

内容説明

一銭五厘のハガキに召集され、横丁の兄ちゃんたちが出征する。ドブ板踏んで、ラッパの響きに送られて…。桑原甲子雄のカメラに収められた留守家族たちの写真を唯一の手がかりに、昭和50年東京下町をルポライター児玉隆也はひたすら歩く。将来を嘱望されながら夭折した児玉が再現した、天皇から一番遠くに住んだ人たちの戦中戦後の物語。日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

100
著者が出征軍人の家族を撮影した写真を手掛かりにして、戦時中と戦後の東京の下町に生きた人々を描くノンフィクション。庶民の生き様を描く本でありながら、戦争の残酷さを告発する内容を持ち、東京の都市論でもある。たくさんの家族の写真が収められており、そこに写っている人々の消息が分からない例もあったそうだ。そういった写真を見て本文を読んでいると、普通の人々のかけがえのない人生の重さがずっしりと伝わってくる。イスラム国の問題がクローズアップされている今こそ読むべき本だと思う。2015/02/15

まさにい

6
この時期、戦争に関する本を読むようにしている。一銭五厘とは、召集令状のはがきの値段。この本は東京の下町(下谷あたり)の2つの町で、戦地へ行った人におくる写真(出征軍人留守家族記念写真)が戦後見つかり、その人たちを戦後(昭和40年代)に探し、その話をルポルタージュしたもの。当時の庶民の戦争に対する考えが読めて臨場感があり戦争を肌で感じられる内容。戦争を観念だけで考えるのではなく、このような肌で感じられるものを知っておくことが戦争を知らない世代である僕には必要なのだと痛感した。2023/08/13

imagawa_natsumi

6
なんでこんな面白い本が品切れなんだろう…。桑原甲子雄の写真に惹かれて読み始めたが、一気に読み進んでしまった。前線に立ったものの物語、銃後を守るものの物語。それを写真にそって追体験していくルポだった。戦後はすぐそばにあるのに、なぜかすごく遠く感じる。2014/06/17

紫電改

2
昭和48年~49年の取材によるルポ、この時代はまだ戦後という言葉が生き残ってるという感慨。東京の下町っていいよね~江戸っ子の話す内容が好き、昔付き合ってた東京下町育ちの彼女を想い出した、元気にしてるかな? モノクロ写真が凄くいいね「不詳」という言葉に何かぐっとくるものがある2020/06/08

ぼっせぃー

2
読んでいて気づいたのだけど、筆者の訪ね歩いたある人が遊び場にしていたという「水月旅館」は、つい先日泊まる機会のあった、上野動物園のすぐ裏の「水月ホテル鴎外荘」らしい。筆者に描かれた、戦後の30年を経て、未だ大戦の影を内に隠した下町は、そこから半世紀を経てもう跡形も無かった。鴎外荘はコロナ流行のあおりを受けてか今月閉館らしい。あの街を知るのはもうこの本だけなのだろう。2020/05/25

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