出版社内容情報
なぜ「赤毛のアン」は日本で強い人気を保っているのか。カナダでの現地取材や、モンゴメリの伝記などから、作品が描かれた背景に迫り、男勝りの少女アンの成長物語が戦後の日本の女性たちの内面と深く関わっていることを論じる。著者独自の心理学的・フェミニズム的視点から分析した新しい「赤毛のアン」像が浮かび上がる。
内容説明
なぜ『赤毛のアン』は日本で強い人気を保っているのか。カナダでの現地取材や、作者モンゴメリの伝記などから作品が描かれた背景に迫り、男勝りの少女アンの成長物語が戦後の日本の女性たちの内面と深く関わっていることを読み解く。著者独自の心理学的・フェミニズム的視点から分析した新しい「アン」像が浮かび上がる。
目次
第1章 海の風景
第2章 モンゴメリの最期
第3章 父の娘
第4章 マシュウ殺害
第5章 幸福な将来への恐れ
第6章 アンの結婚
第7章 双子の記号
第8章 「ロマンチック」の呪縛
著者等紹介
小倉千加子[オグラチカコ]
1952年大阪生まれ。早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻博士課程修了。大阪成蹊女子短期大学、愛知淑徳大学文化創造学部教授を経て、聖心女子大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キーにゃん@絶対ガラケー主義宣言
5
「フランダースの犬」「ハイジ」と並んで現地より日本で人気の「赤毛のアン」。私も美しい景色、聞いたことのない花の名前や食べ物に憧れ繰り返し読んだ口だ。薄々わかっていたけど、きっちり論じられると心の奥に揺らぐものがある。モンゴメリの引き裂かれた意識、無意識が悲痛だ。2023/06/07
きょ
5
立派な論文という感じ。モンゴメリが、決して幸せではない人生を送ったのは知っていたが、多方面からの分析は新鮮だった。彼女は自分の複雑な精神を持て余していたのだろう。意識していたかどうかはわからないが、時代背景的に、結婚し、家庭を営み、夫を助ける… そんなことは実は望んでいないのに…。彼女の複雑な葛藤が、アンに表されていたのか?アンを書き続けることは、自分の見たくないことと向き合うことだったのだろうか?とはいえ、アンや周囲の生き方言動は、私を飽きさせない。アンも作者も、やはりドラマチックだ。2014/12/16
Gen Kato
4
何の気なしに読みはじめたら面白いの何の。同時に自分がどうして『アン』シリーズにハマれなかったか(ファンだった友人はいたが)もよく理解できた。第一作目の後半あたりからアンって「主役だけいい子」傾向が濃厚で個人的にどうしても抵抗があったんだよね。作者の価値観の「限界」がいまだこの国に生きる女たちに共通しているあたりがつらい。2016/11/08
きゃる
3
なかなか壮絶な内容だった。赤毛のアンのほんわかさのままで、読み始めたら、意外な内容。作者があまり幸せでなかったこと、だからアンに託したこと。同時代のヴァージニアウルフとの比較。カナダの歴史や宗教観。いろいろと意外だった。それを踏まえてアンを読み直してもいいかもしれない。2014/12/07
タマン
3
赤毛のアンの作品は有名ですが、作者については知らなかったので本書を手にしました。モンゴメリは当時の社会的概念と戦い、アンはモンゴメリの思想の反映させた存在だった事が解りました。私生活は少女期から決して幸せではなかったのは意外でした2014/10/19