岩波現代文庫
我的中国

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  • サイズ 文庫判/ページ数 244p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006021849
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

現代中国の路地裏を歩き,広大な風景の回廊に佇み,日本語で書く米国人作家は何を記したか。庶民の肉声に耳を傾け,旺盛に対話する中で想起した中国像とは何か。歴史に堆積された想念,人々の生々しい好奇心との出会いから私小説的紀行文学を紡ぎ出す。古都開封にて,千年前に中国人になったユダヤ人がいた痕跡を発見するくだりは圧巻。

内容説明

中国の路地裏を歩き、庶民と言葉を交わす。広大な風景の回廊に佇み、歴史に堆積された想念との出会いから至高の私小説的紀行文学が紡ぎ出される。あの中国は、中国人ではない「我」にとって何であるのか。西域から黄河の流域まで無数の方言を聞き、それらの声を日本語に翻訳するかのように著者は綴った。やがては古都開封にて、千年前に中国人になったユダヤ人が存在していた痕跡を発見する。非西洋へ越境したワールド・フィクションの書き手が綴った等身大の中国。

目次

1 ジパングから
2 我的中国
3 革命夢幻行
4 千年紀城市
5 客死の村
6 軍事博物館にて
7 和室の中の大陸

著者等紹介

リービ英雄[リービヒデオ]
1950年アメリカ生まれ。少年時代を台湾、香港で過ごし、67年に日本に初めて住む。その後日米往還を繰り返し、プリンストン大学大学院博士課程修了、プリンストン大学、スタンフォード大学で日本文学の教授を務める。四〇歳直前から日本に定住し、日本語による作家として活躍。92年、『星条旗の聞えない部屋』(講談社)でデビュー。西洋世界から非西洋世界へ越境した書き手として注目される。主著『千々にくだけて』大佛次郎賞、『仮の水』伊藤整文学賞(いずれも、講談社)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

James Hayashi

25
私小説的紀行文。台湾で育ち日本に定住する米国人の視線で描いた中国。表面的には西洋人であるが(片言の?)中国語を理解し話すので、日本人では体験できないこと、もしくは作家の目で捉えた中国人とその文化を凝縮しているような作風を感じ取った。大都市や観光地を描くのでなく、中都市の旧市街やタクシーのドライバー、列車の中で同乗した人との会話などから彼らの異文化性を語っているよう。自分も中国を一人旅し、強いネガティブ感を感じたが、この作品もどんより重々しい感じがする。2017/01/03

yumiha

19
アメリカで生まれ、13歳まで台湾で育ったリービ英雄は、1967年から日本に住み日本文学を愛し日本語で本を書く。本書でも、日本語で思ったり考えたりする場面があった。だからだろうか、毛沢東とともに生きたカナダ人やアメリカ人を追う。また、いわゆる裏小路を行くので、中国の人々の本音に近いところを引きずり出す。私も十数年前に北京へ行ったけれど、ただの観光客として表面しか見てなかったので、リービ英雄のすごさを思った。2018/04/10

三柴ゆよし

14
武田泰淳にとっての上海、安部公房にとっての満州(そう言えば私の大好きな吉田知子も満州生まれだった)など、日本の現代文学史にとってもお隣の「大陸」はひとつの大きなテーマであった。「常住日本的美国人」(日本定住アメリカ人)であるところのリービ英雄が実地に赴き、幼少時の記憶に残る北京語を駆使して、現地の事物に触れる。「日本」と「美国」というふたつのアイデンティティの狭間で揺れるリービ英雄によって描かれる「大陸」は、純粋な日本人が見るそれとは微妙に異なり、私にとっての「大陸」が更新されていくような感覚をおぼえた。2014/09/02

Hatann

6
米国生まれで台湾育ち、日本語使って小説も書いてしまうという米国人著者による90年代後半中国遍歴の紀行文。主に洛陽、開封、西安、延安などといった古都及び周辺農村部を見聞する。小都市は百余年の悲惨な近代史を抹消するかの勢いで「伝統的」な建物を「復元」していると指摘する。歴史は保存されたのではなく復元された。米国人であることを明かすと大使館誤爆事件を指摘され、日本に常在することを明かすと南京大虐殺を指摘されるという愛国教育も滲み出る時代である。外国人による旅行に期待と不安に混在することもリアルに伝わってくる。2019/12/26

さとうしん

2
中国の旅日記というか紀行文学的な作品。本書の初版が出たのが2004年、およそ10年前ということだが、本書に描かれる中国の風景も急速に過去となりつつある。たとえば何箇所かで言及される各地の「CD・VCDショップ」などは、ネット配信・動画の普及によって商売として成り立たなくなっているのではないか。2015/04/18

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