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岩波現代文庫
絢爛たる影絵―小津安二郎

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  • サイズ 文庫判/ページ数 422p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006021757
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0195

内容説明

日本映画において独自のスタイルを確立し海外での評価も高い巨匠・小津安二郎。その人間と作品の魅力を「東京物語」の助監督をつとめた直木賞作家が見事に描き出したノンフィクション・ノベル。原節子、岸恵子、杉村春子らのエピソードや撮影秘話もまじえ、名場面を考察する。戦中に軍部報道映画班としてシンガポールに赴任していた時代を描いた短編「幻のシンガポール」を併録。

著者等紹介

高橋治[タカハシオサム]
1929年千葉県生まれ。東京大学文学部卒。助監督として松竹に入社、同期に篠田正浩がいた。監督に昇進するが、65年に退社し作家活動に入る。84年「秘伝」で直木賞受賞、88年「別れてのちの恋歌」「名もなき道を」で紫田錬三郎賞受賞、96年「星の衣」で吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

北杜夫そっくりおじさん・寺

58
この本を読むに至ったのは、読友さんの薦めで『東京物語』を鑑賞した事に端を発する。大変良い映画だった。繰り返し観られる映画だった。そのクライマックスシーンでの原節子と笠智衆のやり取りは泣かせるものだが、この原節子の未亡人の役が「もう一人寝のできない女」であるという設定を教わり、その深さに一度驚いた。ところが中野翠『小津ごのみ』(ちくま文庫)を読むと、それが高橋治の本書による空想に過ぎないと知り二度驚いた。これは実際に確認せねばなるまいと、原典である本書を読むに至った。高橋治は元映画監督。(レビュー続く)2021/07/27

harass

31
「東京物語」に助監督として参加した著者が小津安二郎監督のことを書いた本。著者は後に直木賞を取る人で文章力がよろしい。昔の映画撮影所のことや小津監督の凄さを描写している。監督が生涯独身だったとは知らなかった。映画関係の本はこれまで敬遠していたがもっと読むべきジャンルかと認識した。2012/05/22

TomohikoYoshida

12
小津安二郎の映画評と評伝。小津映画を見たことがない自分が読んでも、よく分からないことが多かった。しかし、ローアングル撮影を多用したこと、説明的な撮り方をしなかったこと、スタッフに細かく指示を出して撮影していたことなど、作品の作り方に多くのこだわりを持っていたことが分かる。特筆すべきは、その映画評の部分。著者はとても細かいところまで小津作品を見ている。そこには、小津とその作品への愛情が表現されているように思う。「幻のシンガポール」は純粋にストーリー仕立てなので、小津作品を見たことがない私にも十分楽しめた。2021/08/22

かふ

7
『東京物語』の助監督をして大島渚や篠田正浩らと共同してシナリオグループ「七人」を立ち上げ、若い時はアンチ小津というか、小津を乗り越えて行こうとした人が小津監督(還暦で亡くなった)の年に近づいて小津作品の凄さをあらためて認識する。映画評論としての小津論という側面もあるのだが、それ以上に実際に現場にいた人ならではの楽屋ネタが面白い。原節子の背中にサロンパスが八枚貼ってあったとか。その後ろ姿に原節子の気苦労の話とか。分身である笠智衆や原節子よりも贔屓された杉村春子のことや岸恵子と酔払て道路に寝た逸話など。2016/04/01

ひより

2
小津という偉大なる映画監督がその実とても人間らしいかただったというのがよく分かる。登場する作品全部観たい。「東京物語」は読んでいる途中で我慢できなくなって鑑賞したけれど、この本を読んでいなければ汲めていなかった意図もたくさんで映画の見方の学びにもなった。**脚本を書いているときが一番楽しい。それを配役する段になってがっかりする。現場で俳優を動かしてみてもう一度がっくりと来る /小津の描く愛は、まともな形をとった場合よりも、不毛を指し示す場合が際立って美しい。2022/04/06

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