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岩波現代文庫
荷風と東京〈上〉―『断腸亭日乗』私註

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  • サイズ 文庫判/ページ数 335p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006021535
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

内容説明

永井荷風(一八七九‐一九五九)の『断腸亭日乗』を読み込み、荷風の生きた時代と彼が愛した東京の細部を浮かび上がらせる。荷風はどんなものを食べ、どんな映画を見、どんな女性と付き合っていたのか。上巻では築地や麻布偏奇館での生活、鴎外への景仰、二世左団次との親交、深川・砂町の探訪、荒川放水路と元八まんの発見などが取り上げられ、併せて経済生活にもふれられる。

目次

「病余の生涯唯静安を願ふのみ」―「老い」の見立て
老翁、俗を脱したり―「老人」への共感
「持てあます西瓜ひとつやひとり者」―単身者の文学
山の手の子の下町住まい
三味線の聞える町―築地界隈
下町のうっとうしさ
崖の上の家―偏奇館独棲
「余花卉を愛する事人に超えたり」―庭の小宇宙
庭好む人―焚き火と掃葉
山形ホテル
鴎外への景仰
「小鰺の塩焼、里芋田楽、味甚佳し」―淡白な食生活
左団次との親交
歌舞伎―愛すべきいかがわしさ
隅田川を渡って―深川
放水路の発見
煙突の見える新開地―砂町
「偶然のよろこびは期待した喜びにもまさる」―元八まんへの道
立ちあがる大東京―震災後の復興
ランティエの経済生活

著者等紹介

川本三郎[カワモトサブロウ]
1944年東京に生まれる。68年東京大学法学部卒業。評論家。91年『大正幻影』でサントリー学芸賞、97年本書『荷風と東京』で読売文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きさらぎ

7
荷風は明治12年生まれ。二十歳前に明治維新を迎え、海外留学を経て官僚・実業家として成功した父から明治文明を、儒学者の娘である母から江戸文化を受け継いだ。荷風は留学経験を持ち、フランス文学に親しむ近代人でありながら、歌舞伎や三味線、時代に取り残されたような職人たち、失われてゆく江戸情趣に心を惹かれる。四十代で自らを老人に擬し、独居生活を楽しみ、日記を綴る。だが彼の江戸趣味も下町好みも、明治人としての江戸趣味であり、山の手人の下町好みだった。荷風はそれを自覚しつつ、変わりゆく東京に自らの夢の風景を重ね見る。2016/11/19

まさにい

5
荷風の住居である偏奇館(ペンキ塗りであったことからこの名を付けた)は、僕の地元だったところ(麻布竹谷町⇒麻布の下町=坂の下にあった)に近い。同じ小学校の大先輩にエノケンや山口瞳等の人がいる)。そんなこんなで、僕の知らない時代の近所のことが書いてあって、想像力もふるに使えて楽しく読めた。僕のころの下町のイメージは、隅田川の汚濁や大気汚染等あまりいいイメージはなかったが、明治の隅田川は泳げたとのこと。羨ましくもある。この10年ほど、山歩きではなく、東京街歩きをしている。荷風散歩ゆかりの地もいってみようと思う。2017/10/16

方々亭

3
40数年間もの間書き継がれた断腸亭日乗。様々な切り口でその日記の世界を掘り下げている。断腸亭日乗が好きな人であればこの本はとても有益だ。2022/06/19

やまべ

0
『断腸亭日乗』を読んでいるあいだに感じた興味深い点が幸運にも著者とうまく重なっているようで、すらすら謎ときされる感じで面白く読める。引き続き下巻へ。2011/11/04

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