岩波現代文庫
日本の詩歌―その骨組みと素肌

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  • サイズ 文庫判/ページ数 216p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006020972
  • NDC分類 911
  • Cコード C0192

内容説明

コレージュ・ド・フランスでの日本古典詩歌に関する著者の全五回の講義はフランス読書界に知的刺激を与えた。本書はその講義録であり、詩人の感性と知性が詩歌の魅力と芸術性を引き出している。菅原道真、紀貫之と「勅撰和歌集」、女性歌人、叙景歌、中世歌謡を題材にした、日本の読者にとっても極めて示唆的な詩歌入門である。

目次

1 菅原道真 詩人にして政治家
2 紀貫之と「勅撰和歌集」の本質
3 奈良・平安時代の一流女性歌人たち
4 叙景の歌
5 日本の中世歌謡

著者等紹介

大岡信[オオオカマコト]
詩人。1931年生まれ。53年東京大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Mijas

50
フランスでの講義記録。日本の古典詩歌を知らない聴衆向けにわかりやすい言葉で語られている。内容は深く、興味を持たせてくれるような要素が詰まっている。日本に美学という分野があるならば、詩歌の詩法を抜きには語れない。「人体のより深く暗い内部」の感覚が作り上げてきた日本の伝統美。陰ながら貢献した人たちに焦点が当てられる。菅原道真、紀貫之、女性歌人たち。特に笠女郎に和泉式部。そして、短い詩型でも深い人間の真実を表している例としてあげられたのは、式子内親王のこの歌。「見しことも見ぬ行末も仮初の 枕に浮ぶまぼろしの内」2017/01/27

zuckermen08

0
フランスでの講義録だけど、日本人に読んでほしい一冊。大岡先生ありがとうございました。2017/04/15

jin

0
和歌は、公にはできない恋心を情景描写した側面もある。そのため、主語が明確にはないらしい。 そしてその事は現在日本人の言語意識、(主語を明確にせず強く自己主張をしない)、という姿勢とも通じるものがあるという著者はなぜだか心に残った。2014/03/15

あうる

0
フランス文部省直轄の高等教育機関、コレージュ・ド・フランスにて詩人大岡信が行った、5回に亘る“伝説的”講義の記録。語りは素朴かつ論理的で、初めから関心を惹き付け止まない。それは詩歌の人としての大岡の文学への姿勢がその儘表れるかのよう。菅原道真から始まり日本の歌謡に至るまで日本の詩歌を概観的に語り、フランスの聴者が対象と云えど決して浅薄に陥らず深い思慮をもって論察されている。非常に本質的な内容。現代日本との意外な連関や漢詩と和歌との少し違った切り口での対照には度々感心させられた。あとがきにもあるが正に日本の2013/12/12

OjohmbonX

0
詩歌の中で漢詩/和歌/俳諧以外の一大ジャンル・歌謡について。卑俗な内容の詩もあり、下級階層の作者が多く、声に出して歌われ、身振りや踊りも含み、時や場所に応じて、あるいは原作をもじって詩句が変更され、オリジナリティへの信仰は希薄……。今でいうヒップホップみたいな感じなのかな。時の最高権力者(後白河法皇)がアンソロジー(梁塵秘抄)を編纂させるっていう話、経産省主導でヒップホップの大イベント開催とか連想するとすげえしょっぱい感じするけど、法皇自身が優れた歌い手らしいのでそういう悲惨なものではないのかもしんない。2012/08/09

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