岩波現代文庫<br> 作者の家〈第2部〉―黙阿弥以後の人びと

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岩波現代文庫
作者の家〈第2部〉―黙阿弥以後の人びと

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  • サイズ 文庫判/ページ数 417p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006020477
  • NDC分類 288.3
  • Cコード C0123

出版社内容情報

黙阿弥の娘糸女は養子の繁俊と,嫁みつをむかえて歌舞伎作者の家を守る.大正12年の関東大震災,翌年の糸女の死は,「家」の解体に拍車をかける.芝居界の変貌と江戸庶民の生態を独身女当主の一生と共に綿密に描く.

内容説明

黙阿弥の死後、家を継いだのは独身の娘糸女であった。養嗣子繁俊も嫁みつをむかえ、女当主に献身するが、大正一二年の関東大震災、翌年の糸女の死は歌舞伎作者の家の解体に拍車をかける。河竹家三代の、なさぬ仲をも経て、家はどのように継承され、また変貌していったのか。黙阿弥の曾孫の手になる評伝文学の傑作。

目次

1 嫁とりの条件
2 両替町の人びと
3 大店の昼と夜
4 繁俊の結婚
5 本所の四季
6 根岸閑居
7 大震災前夜
8 劫火の中で
9 宇田川の陋居
10 糸女の死
11 その後

著者等紹介

河竹登志夫[カワタケトシオ]
1924年東京生まれ。演劇研究家。東京帝国大学理学部、早稲田大学文学部卒、同大学院修了。早大名誉教授・文学博士(東大)、文化功労者、オーストリア科学アカデミー会員、日本演劇協会会長、文化庁芸術祭執行委員長。2000年恩賜賞・日本芸術院賞
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感想・レビュー

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MI2

2
江戸末期・明治の名狂言作者河竹黙阿弥。その息女・糸女と糸女の養子である繁俊が「作者の家」を守ろうとしてきた,しかし,最終的には崩れ去ってしまう,ノンフィクション評伝だ。 東京の中で歌舞伎の基礎である「江戸」を必死で守ろうとしてきた「作者の家」の悲哀,関東大震災での梨園の有形的遺産の消滅と江戸の遺風の完全なる消失,糸女の死による「作者の家」からの「作者」の消失など,黙阿弥という完成形からの転落を描き,東京に「江戸」を守る守勢の未だ強いこと,守勢に入った者の運命を教えられたように思う。2011/12/24

絶間之助

0
会社が代わったり、通勤時間が短くなったりして永らく時間が掛かったが、今日、ついに完読しました。感動しました。心に残る作品というのは、こういう読了感をいうのでしょうね。 糸女も存在感は勿論凄いですが、母みつの嫁入りまで、下町本所の光景、そして関東大震災の悲惨な物語。ここが劇的な展開で、息を飲むような緊張感でした。そして糸女の死、父繁俊の死。しめやかな哀しみが胸に伝わってきました。 総じて、劇的な展開も、日常の出来事も淡々とした文章で綴るところが、読んでいるうちにしみじみと心に響いてきます。特に糸女、父のしに2013/07/15

石橋

0
歌舞伎史外伝のような内容で読み応えがあった。主題は河竹繁俊のアイデンティティの拡散と再構築の歴史。そもそも作品を生み出すのは作者個人の能力であり、「家」ではない。河竹の人々は当然それをわかっていて、さらに黙阿弥の残した「歌舞伎」も早晩形を変えるだろうことも予想していただろう。しかし、作者の「家」が儚いものだからこそ繁俊から登志夫の系譜が生まれたように思う。2021/12/30

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