岩波現代文庫<br> 反転する福祉国家―オランダモデルの光と影

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岩波現代文庫
反転する福祉国家―オランダモデルの光と影

  • 水島 治郎【著】
  • 価格 ¥1,474(本体¥1,340)
  • 岩波書店(2019/01発売)
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  • サイズ 文庫判/ページ数 304p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006003982
  • NDC分類 364.023
  • Cコード C0131

出版社内容情報

オランダにおける雇用・福祉改革と移民排除.対極的に見える現実の背後にある複雑な論理を探る.

はじめに


第一章 光と影の舞台――オランダ型福祉国家の形成と中間団体

第一節 現代政治の歴史的文脈
 1 「身軽な国家」オランダの成立/2 一九世紀後半――自由主義と宗派勢力の対抗/3 二〇世紀――「柱」社会と中道キリスト教民主主義政党の優位
 第二節 オランダにおける「保守主義型福祉国家」の成立
 1 「保守主義型福祉国家」とは/2 大陸型福祉国家の特徴/3 オランダにおける福祉国家の形成/4 民間団体主体の福祉
 第三節 中間団体政治の形成と展開
 1 中間団体をめぐる歴史的背景/2 中間団体の包摂――マクロレベル/3 中間団体の包摂――メゾレベル/4 中間団体批判/5 紫連合政権の成立/6 審議会制度の改革/7 開かれたガバナンスの模索


第二章 オランダモデルの光――新たな雇用・福祉国家モデルの生成

 第一節 大陸型福祉国家の隘路
 1 ワークシェアリングを超えて/2 大陸型福祉国家の特徴と限界/3 大陸型福祉国家の構造的問題
 第二節 福祉国家改革の開始
 1 ワセナール協定へ/2 ルベルス政権下の改革/3 第一次コック政権――分権的制度の改革/4 第二次コック政権――「給付所得より就労を」/5 労使の排除と抵抗/6 バルケネンデ政権下の就労強化政策/7 改革の政治的背景
 第三節 パートタイム社会オランダ
 1 就労形態の多様化/2 雇用格差と非正規労働/3 非典型労働の「正規化」/4 オランダのパートタイム労働――歴史的展開/5 パートタイム保護を取り巻く制度的枠組み/6 多様な休暇制度/7 日蘭比較からみたワーク・ライフ・バランス/8 フレキシキュリティへの対応
 第四節 ポスト近代社会の到来とオランダモデル
 1 ポスト保守主義型福祉国家へ?/2 「女性のフルタイム就労」への厳しい視線/3 オランダのパートタイム論争/4 脱工業社会における競争戦略


第三章 オランダモデルの影――「不寛容なリベラル」というパラドクス

 第一節 移民問題とフォルタイン
 1 ポピュリズムの台頭/2 オランダにおける移民/3 フォルタイン党躍進の文脈/4 フォルタインの登場とイスラム批判/5 二〇〇二年選挙に臨むフォルタイン/6 政治戦略としてのポピュリズム
 第二節 フォルタイン党の躍進とフォルタイン殺害
 1 「すみよいオランダ」の結党/2 フォルタインの登場/3 「すみよいロッテルダム」の設立とフォルタイン擁立/4 「すみよいオランダ」との決裂とフォルタイン党結成/5 「すみよいロッテルダム」の圧勝/6 フォルタイン党の展開/7 フォルタインの死と総選挙/8 中道右派連立政権の成立/9 フォルタイン現象の衝撃
 第三節 バルケネンデ政権と政策転換
 1 バルケネンデ政権の八年/2 キリスト教民主主義政党の「自己革新」とバルケネンデ/3 移民政策の転換/4 移民の「選別」の開始/5 社会文化政策
 第四節 ファン・ゴッホ殺害事件――テオ・ファン・ゴッホとヒルシ・アリ
 1 映画『サブミッション』/2 モハメド・ブエリ――移民二世の青年の急進化/3 「ソーシャル・パフォーマンス」としてのファン・ゴッホ殺害
 第五節 ウィルデルス自由党の躍進
 1 ウィルデルスの登場/2 ウィルデルスのイスラム批判/3 ヨーロッパ憲法条約否決/4 ヨーロッパ統合とオランダ/5 自由党の設立/6 リュテ政権の成立と自由党の閣外協力


第四章 光と影の交差――反転する福祉国家

 第一節 福祉国家改革と移民
 1 「移民政治」の顕在化と福祉国家/2 「参加」型社会への転換/3「参加」と義務・責任の重視/4 福祉国家の変質と移民/5 オランダにおける「シティズンシップの共有」
 第二節 脱工業社会における言語・文化とシティズンシップ
 1 脱工業社会における「参加」の様相/2 脱工業社会における「非物質的価値」/3 新しい「能力」観――「ポスト近代型能力」の浮上/4 「言語によるコミュニケーション」と「能力」/5 言語・文化の再浮上/6 参加・包摂・排除/7 新たな光と影の交差のなかで


参考文献
あとがき
現代文庫版あとがき
オランダ下院議員選挙結果(一九八一‐二〇一七年)
政権一覧(一九八二―二〇一八年)

水島 治郎[ミズシマ ジロウ]
著・文・その他

内容説明

オランダモデルと言われる雇用・福祉改革が進展し、「寛容」な国として知られてきたオランダ。しかし、そこでは移民・外国人の「排除」の動きも急速に進行していた。この対極的に見える現実の背後には、いったいどのような論理が潜んでいるのか。排外主義とポピュリズムの時代を先取りしたオランダの経験から、現代世界の困難を抽出した一冊。

目次

第1章 光と影の舞台―オランダ型福祉国家の形成と中間団体(現代政治の歴史的文脈;オランダにおける「保守主義型福祉国家」の成立 ほか)
第2章 オランダモデルの光―新たな雇用・福祉国家モデルの生成(大陸型福祉国家の隘路;福祉国家改革の開始 ほか)
第3章 オランダモデルの影―「不寛容なリベラル」というパラドクス(移民問題とフォルタイン;フォルタイン党の躍進とフォルタイン殺害 ほか)
第4章 光と影の交差―反転する福祉国家(福祉国家改革と移民;脱工業社会における言語・文化とシティズンシップ)

著者等紹介

水島治郎[ミズシマジロウ]
1967年生まれ。千葉大学法政経学部教授。専門はヨーロッパ政治史・ヨーロッパ比較政治。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ゆう。

25
面白かった。なぜ、福祉国家の矛盾を考えることができた。福祉から就労へと進む中で、これまで福祉に包摂されてきた人たち=障害者や移民などが社会参加が困難なために排除されていく。包摂概念のさらなる発展が求められているのだと思った。2020/05/04

飛燕

4
オランダは就労促進型の福祉国家に転換し、広範な市民の「包摂」に成功した先進的モデルとなったが、他方で移民・難民の入国に厳しくなり、「排除」政策も進められた。これはモデルの転換に伴い、コア概念のシティズンシップが変容したことに起因する。従来のシティズンシップが無条件なものであったのに対し、転換後はコミュニティへの参加・貢献をなす者が保障対象となった。だから高齢者・女性の就労促進=社会参画が進められると同時に、言語・文化の点で難点があると見なされた移民らは言語などの習得を義務化され、現実的には排除される。2019/07/09

hurosinki

3
再読。今度は周辺の本も読んだ上でこの本を読んだので理解が進んだ。しかしこの本は別格の切れ味だ。オランダモデルの陰というのは、オランダに限らずヨーロッパを騒がせている移民問題のことだが、問題の背景として、73年のオイルショックで労働移民がストップされたことが第一にある。移民たちは、ヨーロッパ人権条約に則り家族招致を行うことができた。(特にオランダはその制限が緩かった)家族を呼び寄せ、定住する移民らは信徒共同体をなし、イスラーム規範を強調する形での移民の組織化が進む。2019/09/04

Ra

2
民主主義理論勉強会課題本⑥。雇用・福祉改革が進展し,「寛容」な国として知られたオランダにおいて,近年急速に進行してきている「移民排除」に潜む論理を解き明かす名著。近代史から現代福祉政治まで,福祉国家形成から再編までを論説。最近の改革は,就労の多様化を保障し,労働市場への参入を拡大することで,福祉国家を持続可能化しようとするもの。しかし,大量流入した移民の社会統合の失敗が,治安への不安への結びつく。政略に長けたポピュリストの登場が政治世界の「常識」を変え,各党は移民抑制へと引きずり込まれていく。2021/09/26

2
『ポピュリズムとは何か』でも有名な水島先生の著書。福祉国家のモデルと見られるオランダで、排除が進んできたのはなぜか?包摂と排除に通底するロジックは何か?を問う。結論だけ言えば、それはコミュニケーションが重視される社会における「参加」の論理。福祉の恩恵に預かるためには働きなさい、働くために必要となるその国の言語を使えず、文化に馴染めないやつは排除する、ということ。おもしろかった。 ただ、しっくりこないのは、近年の移民難民排除には、参加の論理の他に、「非合理」な部分もあるのではないか。まだうまく言えないけど。2020/03/28

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