内容説明
明治から昭和初期にかけて健筆をふるった内田魯庵(一八六八‐一九二九)。彼はドストエフスキーやトルストイをいち早く日本に紹介したことで有名だが、他方趣味や遊びを共にした市井の自由人たちのネットワークの形成に大きな影響を与えた。本書は魯庵を手がかりに、近代日本の埋もれた知の水脈を発掘する歴史人類学の試みである。上巻では西沢仙湖、林若樹、坪井正五郎、清水晴風ら雑誌『集古』につどった人々が取り上げられる。
目次
1 魯庵の水脈(その始まり;明治の逸人―西沢仙湖;野のアカデミー―集古会;和綴の雑誌―『集古』;蒐集家の筆頭―林若樹;人類学の祖にして趣味の人―坪井正五郎;精神の系譜を捏造する―フレデリック・スタール;神田の玩具博士―清水晴風;江戸百科全書派の美校教授―竹内久一;三村竹清の日記 ほか)
著者等紹介
山口昌男[ヤマグチマサオ]
1931年北海道生まれ。55年東京大学文学部国史学科卒業後、東京都立大学大学院で文化人類学を専攻。東京外国語大学名誉教授。「中心と周縁」「スケープゴート」「道化」などの概念を駆使して独自の文化理論を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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