内容説明
近代日本のメディア・消費文化にとって、広告が果たした役割とは何か。広告とは、いかに「意味の媒体」であり続けたのか。存在としての緩さ、過剰な言説との不均衡を解明しつつ、一九二〇年代から現代に至る時代空間の中で、広告の変容を考察する。俊英による刺激的な力作論考。
目次
序章 問題と方法(広告のある風景―消費社会のイメージ装置;広告の存在論―ベンヤミンから ほか)
第1章 孤立する広告(見世物のなかの/としての「広告」;広告の誕生 ほか)
第2章 散逸する広告(広告の美学化;広告の工学化―工学の所産としてのポスター ほか)
第3章 融解する広告(流動する“舞台”;“欲望”する女性と広告 ほか)
終章 遊歩の弁証法
著者等紹介
北田暁大[キタダアキヒロ]
1971年生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文社会系研究科博士課程退学。現在、東京大学大学院情報学環准教授。博士(社会情報学)。専攻=理論社会学、メディア史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Automne
3
広告それ自体が、広告の死を希求している存在であるということ。 広告という両義的で曖昧な、すなわちアンビバレンスな存在を定義している衒学的著書。2017/04/29
Sean
3
孤立する広告で文学がメディアを意味論的解釈の規格化を隠蔽していたのに対して、広告はそれを明示的に規定している。この共犯が広告を誕生せしめたととく。 読んでいる途中で、広告を分析することにどれほどの価値があるのかわからなくなった。 イデオロギー変化を予見したい人がよむということか?2014/06/03
Hiromu Yamazaki
1
記号論的な広告論とは一線を画しており非常に面白かった。孤立・散逸・融解といった各段階で「広告である/ない」が揺れ動く。硬派で重厚、濃密ながら1000円は安い。2013/12/18
根室
1
難解でさっぱり2012/10/05
takashimore
1
トゥルーマンショーを見たくなった。