岩波現代文庫
明治精神史〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 287p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006001995
  • NDC分類 121.6
  • Cコード C0121

内容説明

民衆思想史の草分けとなった著者の記念碑的代表作。大学紛争が全国的に展開され、近代の価値が厳しく問われていた時代にあって、大きな共感をよんだ、戦後歴史学、戦後思想史の名著である。テクストは全集に収録されている「新編」ではなく一九六八年刊行の「増補版明治精神史」。

目次

第1部 国民的覚醒の時代(明治ルネッサンスの記念碑―ある地方の人間発掘から;草莽の目ざめ―横井実学党を支えた一族たち;豪農民権への展開―徳富猪一郎の思想形成;自由民権運動の地下水を汲むもの―透谷をめぐる青年群像;民権と国権の相剋―大矢蒼海と大阪事件内面史;“戦士・詩人・思想家”の生誕―透谷における原体験の意味;地方知識人の道統―秋山国三郎の人と精神;在村活動家型民権家の二つの軌跡―平野友輔と細野喜代四郎;人民ニヒリズムの底流―困民党指導者、須長漣造の思想)

著者等紹介

色川大吉[イロカワダイキチ]
1925年千葉県生まれ。東京大学文学部国史科卒。東京経済大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Major

10
文献資料の精緻な読込みを元に、明治草莽期に自由民権運動に関わった人々の行動と思索の軌跡を丁寧に追っている。徳富蘇峰や北村透谷など、この時期の著名な思想家はもちろんだが、「地底に埋もれた」数々の人々について具に劇的に叙述することを通して、“士”の精神と“近代市民”への精神との相克の緊迫した息遣いまで感じさせてくれる。それは、自由民権運動を展開する民衆の精神的エネルギーが、現代(1960年代)まで伏流水として脈々と流れてき、それが未来を開くという確信に寄せる著者の熱い思いが込められているからである。コメントへ2017/08/30

iwasabi47

3
北村透谷と三多摩の民権家達。一つ違いの慶応三年生の漱石露伴紅葉らに見られない動き。『敗者の精神史』に語られない人々。民権運動の勉強もボチボチしよう。またあとで。2021/06/20

Major

0
文献資料の精緻な読み込みをもとに、明治草莽期に自由民権運動に関わった人々の行動と思索の軌跡を丁寧に追っている。徳富蘇峰や北村透谷など、この時期の著名な思想家はもちろんだが、「地底に埋もれた」数々の人々について、つぶさに劇的に叙述することを通して、“士”の精神と“近代市民”への精神との相克の緊迫した息づかいまで感じさせてくれる。それは、自由民権運動を展開する民衆の精神的エネルギーが、現代(1960年代)まで伏流水として脈々と流れてき、それが未来を開くという確信に寄せる著者の熱い思いが込められているからである2012/11/19

てら

0
煩瑣をおそれず本文から引用…「内部欲求とモラルとが正しく適合しない場合、そこに生まれる矛盾はふかまるばかりである。些細な偶然を契機として、たえず破壊的な内部危機にみまわれる。  したがって、この思考体系では、その時点までで思考は停止され、あとは「忍耐」「剛気」「不撓不屈」とかいう思考外的な、ストイックな意志的方法にゆだねられてしまう。「勇」とか「義」とか「胆」とかを強調する日本型英雄豪傑心理の粗野なメカニズムがここに成立する。 」2009/10/04

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