岩波現代文庫
道化の民俗学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 384,
  • 商品コード 9784006001759
  • NDC分類 770.4
  • Cコード C0110

内容説明

エロスと笑い、風刺と滑稽に満ちた祝祭空間で演じられる“道化”の意味は何か―コンメーディア・デラルテの主人公アルレッキーノや狂言の太郎冠者、中世劇の悪魔と道化、ギリシャ神話のヘルメス、アフリカのトリックスター神話、古代インドの黒き英雄神クリシュナ、アメリカ・インディアンの道化集団など世界の民俗に分け入って、博引旁証、縦横無尽に議論を展開する。文化英雄としての道化の本質を明らかにし、一九七〇年代の知の閉塞状況を打破した記念碑的著作。

目次

第1章 アルレッキーノの周辺(コンメーディア・デラルテ『二人の主持ちのアルレッキーノ』;科白とマイムの意味論 ほか)
第2章 アルレッキーノとヘルメス(アルレッキーノの起源論;アルレッキーノの民俗 ほか)
第3章 アフリカ文化と道化(社会構造と道化的行為;演劇的行為としての「ジョーク」 ほか)
第4章 黒き英雄神クリシュナ(始原児クリシュナ神とヘーラクレース;クリシュナ、ヘルメス、ヘーラクレース ほか)
第5章 アメリカ・インディアンと道化の伝統(蘇るインディアン;道化と想像力 ほか)

著者等紹介

山口昌男[ヤマグチマサオ]
1931年北海道生まれ。55年東京大学文学部国史学科卒業後、東京都立大学大学院で文化人類学を専攻。東京外国語大学名誉教授。「中心と周縁」「スケープゴート」「道化」などの概念を駆使して独自の文化理論を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Gotoran

57
アジア・アフリカ、南アメリカなど世界各地で、両性具有、トリックスターにつてフィールドワークをしたと云う文化人類学者山口昌男氏初期代表作。エロスと笑い、風刺と滑稽に溢れる道化。世界各国の様々な芝居や劇、神話等に出てくる道化について、詳細に考察される。イタリアのアルレッキーノ、狂言の太郎冠者、中世劇ノ悪魔、アルレッキーノとギリシャ神話のヘルメス、アフリカのトリックスター神話、古代インドのクリシュナ、アメリカインディアン等々。実に興味深々の内容。本書も河合著『こころの読書教室』派生本。2017/05/07

もちもちかめ

28
道化は生け贄として殺される運命にあるのなら、私がやはり道化として共同体に入っていくやり方は失敗すると確信。道化性を押し殺して普通人として仮面を被らねば殺される。ありがとう。やっと納得した。今まで5年以上同じ境遇に身を置いたことがないのは、穢れと共に追い出されてきたから。道化なのが私の本質ならば、穢れではなく、聖女としての部分の演技を強化すべきなのだな。弁慶とか、スサノオとかヘルメスとか。2018/05/23

サケ太

20
伝説や空想上の道化師・トリックスターである、アルレッキーノをはじめとして、ヘルメス、エシュ= エレグバ、アルジュナなどに言及し、その役割、成立を書いている。スサノオや弁慶にまで話が及んでいるのが面白い。2019/10/09

てれまこし

15
イタリア喜劇の道化アルレッキーノからヘルメス神話や地母神信仰まで遡り、さらにインドのクリシュナ神に飛び、北米先住民の信仰を日本神話や芸能と比較してしまう著者は、自らがあらゆる境界線を乗り越える神出鬼没の知の道化、トリックスターであることを自認している。自分たちの常識に凝り固まっている固い頭に一撃を食らわしたソクラテスもまたトリックスターだとすれば、哲学自体が一種の道化。この書などもまたひとつの「ソクラテスの弁明」である。皮肉なのは、これを理解する鍵は今日の哲学ではなくて民衆文化の方に見出せるということ。2023/01/01

NICK

8
コンメーディア・デラルテの道化アルレッキーノに始まり、制度化された「ジョーキング」、ヘルメス神やクリシュナ神といった神話におけるトリックスターを、両義性、媒介性において見、そうした「道化」こそ人間の生の象徴的な次元、つまり神話的で演劇的な世界において、死と再生を担う根源的な存在であるとする、文化人類学の分野のみにとどまらず人間の根源的な部分を問う名著。人間の生が道化を媒介にした中心と周縁の緊張的関係に根ざすとすると、例えばレヴィナスなどはまさに内部/外部関係について思考した人物であったが……?2015/09/06

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