内容説明
明治維新以後の薩長中心の階層秩序から離れ、「もう一つの日本」をつくりあげて来た人々がいる。上巻では日比翁助の三越改革、淡島椿岳・寒月父子の知的バサラ術、大槻如電・高橋太華・山本覚馬ら東北諸藩出身者の生涯、大橋佐平・新太郎父子の博文館経営などのエピソードを通して、彼らの知的ダンディズムと開かれた精神を描く。
目次
1 明治モダニズム―文化装置としての百貨店の発生(一)
2 近代におけるカルチャー・センターの祖型―文化装置としての百貨店の発生(二)
3 軽く、そして重く生きる術―淡島椿岳・寒月父子の場合(一)
4 明治大正の知的バサラ―淡島椿岳・寒月父子の場合(二)
5 敗者たちの生き方
6 敗者たちへの想像力
7 明治出版界の光と闇―博文館の興亡
8 青い眼をした人形と赤い靴はいてた女の子の行方―日米関係のアルケオロジー
著者等紹介
山口昌男[ヤマグチマサオ]
1931年北海道生まれ。55年東京大学文学部国史学科卒業後、東京都立大学大学院で文化人類学を専攻。東京外国語大学、静岡県立大学、札幌大学の教授を歴任。「中心と周縁」「スケープゴート」「道化」などの概念を駆使して独自の文化理論を展開している
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感想・レビュー
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bittersweet symphony
1
本書の元連載の時期の「へるめす」は当時読んでいた可能性がかなりあるのですが、ラストの赤い靴の話などに個人的デジャヴュ感があるのはそのせいかもしれません。とはいえ、別ルートで色々引っかかっていた幕臣・会津負け組チームの話など既にガッツリ語られていて釈迦の手のひら感を味わったり。不思議なのは80年代前半までのトリックスター論と本書以降の蘊蓄に関連が無さそうで確かに無いところでしょうか。2020/11/09
石橋
0
鹿島茂「神保町考」からこちらへ。地を這うような網羅的文献群から成り立っていて、退屈かもと思いきや全く違った。著者の知識欲が、ずんずん広がっていく様を一緒に味わえて楽しいったらない。廃校になった校舎で偶然見つけた書物から「夢想だにしなかった視界が開けていく」というくだり(P425)、最高。2020/05/06
iwasabi47
0
再読。他の関連本を読んで人物間繋がりがやっと理解できたかな。2020/02/04