岩波現代文庫
レインわが半生 - 精神医学への道

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  • サイズ 文庫判/ページ数 332p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006000783
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0111

出版社内容情報

陸軍病院や女子病棟で閉ざされた心とふれあった青年医師の〈存在〉への問いは,分裂病の実存研究『ひき裂かれた自己』に結晶する.伝統精神医学を問い,新しい分裂病論と対人関係論を拓いたレイン30歳までの自伝.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

73
学生時代、分裂病の実存研究『ひき裂かれた自己』に圧倒された。まさに自分のことを痛烈に抉っているようで、その精神の奈落から這い上がれないような危機感さえ覚えたものだった。精神医学も科学の一分野のはずである。科学的データと分析と、ロボトミー手術を典型とする外科的手法、そして薬物の投与、拘禁、医者を含めた他者との遮断。が、ことは心の問題のはず。精神の病(統合失調症)は神経など器質的な異常に終始するものなのか。2021/03/23

13
単行本読んだけどこちらで登録。インシュリン・電気ショック・ロボトミー時代真っ只中の半生記なので、精神医学歴史が判りやすい。科学的・客観的であろうとする位置よりも個人的・主観的を重要視し、精神病患者との意思疎通を忌避する主流スタイルから逸脱した方向で治療を模索したレイン。そこに至る体験を装飾無く書き立てている。激烈な荒療法経験を平然と記述しているからこそ感じさせられるものがある。彼の思想を汲んで実践している精神科医は、現在でどれだけいる?飾りじゃないのよ心はハッハーン♪根本的な意識は昔と大して変わってない。2014/05/17

fishdeleuze

3
レインの半生はそのまま精神医学の歴史といっても過言ではない。当時,精神医療は国家規模の強大な制度(中井久夫)であり,かつ非人道的なもの(悲惨と不条理と屈辱 P.222)であった。何と言っても,インシュリン療法,電気ショック療法,ロボトミー手術の時代である。もしその場に居合わせたらと思うとゾッとする。そしてそういう場で精神科医として期待されていること,すなわち病者(とされたもの=脱社会的存在)を社会から隔離,幽閉し,非人間的に扱うこと,を行うには,レインはあまりにもナイーブに過ぎた。(続く) 2012/06/11

Kohsuke Ikeda

2
レインは神が存在しながらも世の中には不幸が多く存在する事実をきっかけに、人間世界の悲しみ、苦痛に科学的に近づく手段として、物質的・肉体的現実や社会的現実を探求する医学を志す。レインによれば当時の精神医学とは、社会生活を営むにあたって好ましくない行為形態や精神状態の者(=狂気)を社会から排除するための権力構造そのものであった。精神異常者を社会から排除するという要請は、精神医学者に「患者の精神の健康状態を決定づける権限」と「精神異常者に対して市民の権利と自由を剥奪しうるような処置を施すことを認める権限」を付与2012/10/27

nananacalling

0
正直、めちゃくちゃ面白かった。読むのが止まらなかった。専門的な知識はいらない。いくつかのドラマを求める好奇心という心持ちで読むことも出来る。精神に関する興味がより増した。2021/02/13

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