出版社内容情報
論語は人間関係の複雑さを知りつくした孔子の人間論である.東西の古典に通暁した碩学による,伝統的な注釈から自由な,現代人の処世を考えるための斬新な訳解.礪波護解説
内容説明
『論語』は堅苦しい儒教の聖典や教訓集ではない。弟子たちに礼の作法を教え、詩を歌い、人物を評論し、処世法を説く孔子の人間論である。本書は、東西の古典に通暁した碩学が伝統的な注釈に縛られずに生きた言葉のリズムや文体を吟味し、大胆な歴史的推理をもとに現代語訳を試み、はじめて現代人のためにこの中国の大古典がよみがえった。
目次
学而
為政
里仁
公治長
雍也
述而
泰伯
子罕
郷党
先進〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コウメ
45
倫理学の授業を受けるということでもう一度論語を読み直したけど今回読んだ論語は原文だけではなく現代文も書かれているため日常生活に置き換えてイメージがしやすくなった。気に入った原文を現代語訳と一緒に心に響いたものをノートに書いたけど沢山ありすぎて笑。本当に何度も繰り返し読み直したい1冊。2021/06/03
モリータ
12
文学部在籍10年目で、信頼できる評論家が読めというのに後押しされて初めて読みました。パリ旅行をはさみ、後半は新約聖書と並行でした。当たり前のことですが、現代の学徒である自分に引きつけて読める箇所が多くて驚きました(子路篇13-21など)。これから数年のうちに金谷訳、吉川訳、貝塚訳、加地訳と読んでいって少しでも遅れを取り戻せればいいのですが。2015/03/23
徒生
6
さすがに論語であった。人の生き方や学ぶ人に大切な姿勢について拳々服膺したい章句に満ち溢れている。宮崎市定先生の訳がまた素晴らしく、孔子やその弟子の言わんとするところを徹底して突き詰めて、本文の添削(!)や大胆な意訳も厭わない姿勢で書かれているので非常に分かりやすい。同時に掲げられている原文・訓読と照らし合わせると、宮崎先生の凄さにため息すら出る。2016/03/11
coldsurgeon
5
学生時代以来、久しぶりに論語に向き合った。40年前と理解の仕方が違うのは、作者の現代語訳が適切なためか、私が年を取ったためか、わからない。しかし、含みのある、考えさせられる文が多い。2014/06/25
Seele
2
久しぶりに再読。福澤が「学問のすゝめ」で漢学者を散々にこき下ろしていたのを読んだ反動もあって(それはそれで、十分な理由はあるわけだが)、手に取る。同著者の「論語の新しい読み方」と併読。論語の現代語訳は何冊か持ってはいるものの、文章の平易さもあって、聖人視される前の、当時の「市井の教育家」としての孔子の姿が垣間見れ、個人的には一番肌に合っていると再確認。次の読書に宮崎市定の他の著書を読み進めるか、論語(孔子)がらみの著書に手を広げるか、悩みどころ。2021/09/24