出版社内容情報
公共性と合理性の理念の実現が近代のプロジェクトである.ポストモダン論争の出発点となった表題作をはじめ,歴史家論争に火をつけた論考,ナショナリズム,生活世界の植民地化などの重要テーマ論文を収めた社会論集.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Saiid al-Halawi
5
「この部分までは理解できるけど、ここから先は見解が分かれる」どころの話じゃない。移民受け入れ問題とか、第3帝国で相対化されたドイツ民主共和国とシュタージの清算とか、なんでこんなに難解に語れるんだろうってくらいサッパリ。2014/04/22
bull
4
論考集だが表題の論文を取り上げる。著者によると18世紀の啓蒙主義者は「近代というプロジェクト」で科学、道徳と法、芸術を自律志向により展開させ理性的な生活の成立に役立てることを目指した。しかし20世紀に至り三つの領域は専門家の仕事として分化し「生活世界」から分離してしまった。この点「近代化」の帰結として方々で挙げられている話だ。特に芸術の分野ではシュルレアリズムに至り啓蒙から止揚のプログラムへと逆転し、失敗したとする。辛辣だ。処方箋は生活世界の視覚から専門家の文化を吸収獲得することにあるとするが、この論考の2015/02/02
ゆーえん
3
名著集。ハーバーマスは啓蒙主義についての本を大学時代読まされたので、小難しいことを厳格に述べる学者だと思っていたが、意外と熱い男ナンダナーって。特にドイツマルクナショナリズム、核時代の市民的不服従は読んだほうがおもしろい。つか、ご存命だったのね2016/06/12
D.Okada
3
「核時代の市民的不服従」のみ再読。2012/06/29
お茶
1
近現代ドイツ史についての予備知識がないとかなり読みにくい本だと思う。移民の問題や憲法に関する話題など、けっこう今の日本にアクチュアルな文章が多かった。ハーバーマスが言ってることは民主主義を運営する上でとても大切なことである。だけど、みんなトコトン話し合って納得してから国を作ってゆこうというような主張は、抽象的というか夢物語的というか、ただの理想論に聞こえる。いや、そういう根本的なことを語るのが哲学なのかもしれんし、様々な事柄を分析する手腕は大したものだと思うけど……まあ政治する人には一読しといて欲しい本2014/07/21