出版社内容情報
取材先で出会った一人の中国残留婦人の一生をたどり始めた著者は,時代や戦争に翻弄されながらも強く生きる姿に圧倒される.中国残留婦人が生まれた経緯,また戦後の中国や日本に帰国してからの暮らしなど,表だって語られることの少ない歴史に光をあてながら,戦争体験を語り継ぐ意味と,平和の大切さを訴える.
内容説明
取材先で出会った一人の中国残留婦人の一生をたどり始めた著者は、時代や戦争に翻弄されながらも強く生きる姿に圧倒される。中国残留婦人というものが生まれた経緯、また戦後の中国や、日本に帰国してからの暮らしなど、表だって語られることの少ない歴史に光をあてながら、戦争体験を語り継ぐ意味と平和の大切さを訴える。
目次
序章 「中国残留婦人」とは
第1章 記憶の旅へ
第2章 崩れ去った夢
第3章 命の再生
第4章 大地に生きる
第5章 祖国へ
終章 未来への一歩
著者等紹介
東志津[アズマシズ]
1975年大阪府生まれ。ドキュメンタリー映画監督。大学卒業後、映像の世界へ。企業PRビデオ、CMなど商業映像の制作を経て、2003年よりドキュメンタリーの制作を開始。2007年『花の夢―ある中国残留婦人―』を発表。2009年文化庁新進芸術家海外研修制度にて渡仏。以後、パリを拠点に制作活動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひとみ
3
中国残留孤児はよく聞きますが、残留婦人というのもいたんですね。国策でお国のため、と満州に渡ったのに敗戦になった途端、日本軍はさっさと引き揚げて・・・無責任ですね。引き揚げの列からはぐれた後、この方は優しい中国人男性と結婚してそれなりに幸せだったと思います。でも、戦後の激動の中国での貧しい暮らし、帰国後も大変辛苦を味わったんですね。正に時代に翻弄されたんですね。帰国したとき、親戚の人に「反対したのに満州なんかに行くからだ」と言われ、ご苦労様の言葉もなかったというのが辛いですね。2015/09/11
がんぞ
1
敗戦で軍人、つづいて実力者が真っ先に逃げた。国民党進駐軍は小でも公的地位あったものは市中引き回しの上、公開処刑。末端公務員も囚え内戦の危機が迫ると密殺した。棄民の女子供は満州の曠野に…(吸い込まれた)「12歳までが残留孤児、13歳以上は自分の意思で残ったものとみなします」中国人と結婚などして保護され引揚船があることを知らなかったり辿り着けなかった者は多い。「日中国交正常化」以降も侵略の加害者側とされ、帰国条件の親族の身元引受も「自分の意志で満州に(開拓団募集に応じ)渡ったのだからなりたくない」と拒否され2017/06/01
jocolamer
1
ある中国残留婦人がなぜ満州に行き、どのように生き延びたのか、その婦人のドキュメンタリー映画を撮った監督が聞き書きした。ジュニア向けなのでわかりやすくおすすめ。混乱の状況を生き延びた人の貴重な証言だと思う。2011/12/19
99t
0
戦争被害者を顧みない国家のやり方に、日本の裏の顔を見た気がした。2012/09/24