内容説明
手話は世界共通?手話はジェスチャー?実は、手話は文法をもち、国によって異なる複数の言語です。聴者も、ろう者も、身体の違いでそれぞれ適した言語を持っています。手話を言語のひとつととらえて、ろう者たちの豊かな文化世界のフィールドワークへ出かけましょう。文化人類学者が異文化への旅に案内します。
目次
1 手話ですべてが進んでいく世界
2 手話という目で見る言語
3 ろう者のさまざまな文化
4 少数言語としての歴史
5 世界の手話とろう者たち
6 音声言語と手話の共存をめざして
おわりに―「ご近所の異文化」を訪ねてみよう
著者等紹介
亀井伸孝[カメイノブタカ]
1971年生まれ。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究員。日本手話研究所外国手話研究部研究員。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。理学博士。手話通訳士。専門は、文化人類学、アフリカ地域研究。著書に、『アフリカのろう者と手話の歴史―A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』(明石書店、2006年。2007年度国際開発学会奨励賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
46
「ろう者たちは、耳が聞こえない身体に合った文化をもっている」。それだけで、理解としては十分…。視覚や触覚の文化要素がつながり合い、全体として音を使わない暮らしができているということをまとめて知ることが大切/ご紹介に感謝です。大変勉強になる内容。ジュニアの時代に読んでおきたかったです。/高齢化もあり難聴の問題増えていたりする中、音のない文化を知る事、社会全体がその文化から学べるものを見出すことも大切だと感じました。例えば静かすぎて背後から来てもわからないEV。音でのみお知らせする色々な電気製品群。2021/08/21
糜竺(びじく)
44
想像してた以上に勉強になり、視野が広がった気がします。●手話は、音声言語と同じような自由さと複雑さを持った言語である事。●国語辞典でも、手話はろう者の言語であると明記されるようになった事。●手話を話すろう者達の間で、習得され、共有され、伝達されている文化があり、その中には、慣習や価値観などの広義の文化と、学問や芸術などの狭義の文化のどちらもある事。●世界には、憲法や法律で手話を公用語と定めた国が幾つもある事。などなど、自分の身近な所で日本人の中で日本語以外の言語を用いている文化があるという事に驚きでした。2017/08/20
vinlandmbit
19
図書館本。手話を言語として正しく捉え、文化として理解するために、いくつか大切な気づきを頂けた一冊。ある程度視野が開けた段階で、また読み返すと新たな気づきがありそうと感じましたので、また読みます。2023/06/07
ドシル
3
発売になって直ぐに読んだ本。 こども向けだが、手話を学び始めたばかりの手話学習者にもどんな方向性で手話を学び、ろう者と向き合って行くべきか道標になると思う。
まろん
3
大学の授業の教科書として購入。これを読むまで知らなかった手話の世界の常識をたくさん知ることができた。これを読んでから、バイト先の飲食店にろう者の方が集団で来たことがあって、偶然ではないような気がした。意識してみると、ほんとに身近にろう者のコミュニティってあるんだなと実感できた瞬間だった。ろう者の人と出会う機会があったら、相手にあったコミュニケーションを理解して、障害をコミュニケーションの壁にしてしまわないようにしたいと強く思った。言語や文化が違うことをありのままで受け入れること、ほんと大事なことだ。2012/12/17