岩波ジュニア新書
シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり

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  • サイズ 新書判/ページ数 201p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784005006182
  • NDC分類 K911
  • Cコード C0221

内容説明

強制収容所を生き延びた詩人・石原吉郎は、戦争を生み出す人間の内なる暴力性と権力性を死の間際まで問い続けた。彼はシベリアでいったい何を見たのか?石原を軸に抑留者たちの戦後を丹念に追った著者が、シベリア抑留の実態と体験が彼らに与えたものを描き出す。人間の本性、生きる意味について考えさせられる一冊。

目次

プロローグ
第1章 封印された過去
第2章 ラーゲリの記憶
第3章 戦後社会との断層
第4章 詩人へと連なる水脈
エピローグ
付録 三編の詩・石原吉郎

著者等紹介

畑谷史代[ハタヤフミヨ]
1968年、長野市生まれ。早稲田大学文学部卒業、同大学院文学研究科中退。信濃毎日新聞社入社。報道部、文化部を経て現在、論説委員。著書に『差別とハンセン病―「柊の垣根」は今も』(平凡社新書)、共著に新聞協会賞(1999年度)を受賞した『介護のあした』(紀伊國屋書店)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ステビア

16
石原吉郎の手堅い伝記。2020/08/31

モリータ

9
◆2007-08年の信濃毎日新聞の連載「石原吉郎 沈黙の言葉―シベリア抑留者たちの戦後」をまとめ09年刊。著者は1968年生、同新聞論説委員。詩人・石原吉郎(1915-77)の抑留体験と復員後の詩作・エッセーを軸に、シベリア抑留問題を考える。◆石原吉郎のことを知るにはよいが、ジュニア新書のテーマとしては狭いので、刊行タイトルには難がある気も。◆香月泰男の「シベリア・シリーズ」が挿絵になっている。◆自由を抑圧された人間が、他者を抑圧・侵犯しつつ共生し、生き延びたという、人間性の根源に関する責任、苦悩の昇華。2022/04/01

とりもり

7
詩人・石原吉郎に興味を持ち、入門書的に読んでみたのだが、シベリア抑留について何も知らなかった自分に愕然とするほど、その現実は厳しかった。そして何より、その苛烈な日々を過ごしながら待ちわびた祖国に帰った後、その祖国からも受け入れを拒絶されたことが如何に辛かったかは想像に難くない。何よりも、生き延びること=他人を蹴落とすことという、人間の原罪を嫌というほど体験したからこそ、あの言葉を叩きつけるような詩が生み出されたのかと…。生きた証としての「名前」の重さについても深く考えさせられた。オススメ。★★★★★2020/12/27

Hiroki Nishizumi

7
まさしく何だったのか、である。メタファーだらけでパラフレーズな詩を生み出した石原吉郎。敗戦後に始まる戦争。加害者であることにおいて人間になる、という思い。問い掛けは強い。2019/11/19

Haruka Fukuhara

7
よく出来た本だった。ちょっと場違いな感想かもしれないが、石原吉郎の詩とBUMPの昔の曲の暗めの歌詞に何となく相通ずるものを感じた気がした。それにしてもシベリア抑留の当時よりも帰って来てからの疎外感の方が苦痛だったということには考えさせられる。2017/03/15

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