内容説明
ボールペンに消しゴム、メガネにファスナー、ケータイに自転車。なじみの道具たちが安心して使えるのは、つくる人たちの工夫がこめられているからだ。旋盤工だった小関さんが、つくった人からポイントを聞いたり、調べたりして、ヒミツを教えてくれる。道具とつくる人たちの素顔が見え、「こんなに工夫があったんだ!」と感心させられるぞ。
目次
1 ボールペンの球がよく回転するわけ
2 書いたものをどうやって消すか
3 メガネやカメラが軽くなったわけ
4 思いもよらないファスナーの使い道
5 ケータイのモデルチェンジを支えるもの
6 自転車を眺めて考える
7 よく鳴るギターのヒミツ―現代の名工をたずねる(1)矢入一男さん
8 アスリートを支えるシューズ―現代の名工をたずねる(2)三村仁司さん
9 辻谷砲丸がオリンピックでメダルを独占したわけ―現代の名工をたずねる(3)辻谷政久さん
10 提案型ものづくりが産業を支える―小さな工場の大きな工夫
著者等紹介
小関智弘[コセキトモヒロ]
1933年、東京生まれ。都立大附属工業高校卒業後、1951年から大田区内の町工場で働く。2002年、勤め先の工場閉鎖により、五一年間におよぶ旋盤工生活にピリオドを打つ。1975年ごろから作家活動をはじめ、いまにいたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メタボン
25
☆☆☆★ 既読の著書とかなり内容がだぶっているものの、小関氏のものづくりに対する視点が良いので、復習をかねて読んだ。ギターに音を聞かせるという矢入ギターの話や、靴や足を見れば走り方がわかるというアシックスの職人、メダルを独占してしまう日本の砲丸投げの球などが面白かった。2016/01/19
文章で飯を食う
9
職人とか町工場とか聞くとわくわくする。オリンピックの表彰台を独占した砲丸の話は知っていたが、比重の違う鉄の塊から重心が真ん中になるように、旋盤だけで削り出す。削られる時の音の違いで比重の違いを知ると言う。足を触って選手の走り方がわかる靴職人とか、凄い人は凄い。2016/07/27
HIDE
5
この本によればファスナーやプラスティック消しゴムは基本的に日本で生産されているらしい。知らないだけで案外、世界一がそのへんに転がっているようだ。2012/02/03
ノコタ
2
いわゆる「社会の窓」に使われているファスナーに、あんな工夫がされていたとは考えてもみなかった。人々が信頼して身を預けられる部品って、ふと考えると凄いなあ。。。2021/11/09
壱萬弐仟縁
2
ものづくりの巨匠による若者向けのツールのイロハが解明された好著。ボールペンの歴史は1888年、米国人ジョン・ラウドが考案(2ページ)。構造は単純だが、精密につくる必要がある(4ページ)。鉛筆は江戸初期、蘭商人が家康に献上したものが初め。一本で50㎞線が書ける(17ページ)とは驚きだが、実際は削るのでそこまでは書けない。消しゴムは、1915年創業のシード。1954年プラスチック製開発に成功(33ページ)。ママチャリは日本らしい財(116ページ)。長年の匠だからこそわかる経験知が凝縮された逸品。2012/08/29