内容説明
ぼくは自由に生きたかった。いろいろ回り道して写真家になった。日本の中の朝鮮・猪飼野、本土の中の沖縄・大阪大正区にかよい、全国のハンセン病療養所をまわった。写真とは「人間」を撮るものだと考えていたが、ほんとうに撮りたいのは「人生」ではないかと思い直すようになった。そして、今は「永遠」が撮れる写真家になりたいと願っている。写真は奥の深い仕事なのだ。
目次
1 “自由”への回り道―いわば転職願望それで何かをしようという気などなかった二十五歳で写真学校へ(夢;東京での日々;写真学校;各駅停車の楽しみ)
2 ふたつの異文化―いっぱつ殴られて知る不幸な関係“朝鮮”・生真面目な自分が溶かされた“沖縄”(おおっぴらに“朝鮮”を;レンズにぬくもりはあるか;ワチナーンチュの誇り;大阪のオロナミンC)
3 ハンセン病療養所―隔離のなかでも営まれた日々の暮らしその日常の小さな喜びをこそ見てみたいと(役回り;奪われた可能性;招かれざる客;月へ行く;何でやねん;百人百様)
4 記録者からの脱却―やっと気がついた果たしてぼくはちゃんと写真と向き合ってきたのだろうか(忘れるな;埋め立て地を歩く;テーマとの隔たり;身体感覚を大切にして;写真に力はあるか)