出版社内容情報
芸談とは先人への懐古憧憬であるとともに後進への叱咤鞭撻でもある.役者のことばでつむぐ平成歌舞伎論.
犬丸 治[イヌマル オサム]
著・文・その他
内容説明
芸談は、先人の芸への懐古憧憬であるとともに、後進への叱咤鞭撻の役割をあわせもつ。あるときはさらりと、あるときはぐさりと。歌舞伎役者のことばは深い。舞台の心得、「型」というもの、伝承と革新、終わりなき芸の道。勘三郎、三津五郎、海老蔵をはじめ、平成の世に輝いた名優たちの芸談でつむぐ、次代へ向けた歌舞伎論。
目次
第1章 舞台の心得(某優;二代目中村又五郎 ほか)
第2章 「型」というもの(七代目尾上梅幸;十二代目市川團十郎 ほか)
第3章 伝承と革新と(三代目市川猿之助;七代目中村芝翫 ほか)
第4章 終わりなき芸の道(六代目中村歌右衛門;五代目坂東玉三郎 ほか)
著者等紹介
犬丸治[イヌマルオサム]
1959年東京生まれ。1982年慶應義塾大学経済学部卒業。現在、演劇評論家、歌舞伎学会副会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
50
第2章「型」というものは、高校2年コミュ英テキストレッスン1に対応する狂言のところで気になった概念。ここで注目されたのは、戦争のこと。2代目尾上松緑「こんなところの解釈にも、戦争へ行った行かないの差が出てくるように思えます」(61頁から)。中国や南方に転戦した経験をもつという。問題は「仮名手本忠臣蔵」の「判官切腹」。「遅かりし由良之助」の場面。松緑さんは戦場における人間のけだもの性をいやというほど見た。笑う人間が殺して万歳、とは(64-65頁)。ウクライナ戦争、ガザで起きていることを歌舞伎から照射する。2024/04/06
佐島楓
50
血と家と芸という一般人には計り知れぬ世界に生きるひとびとに惹かれるのはなぜか。それを探究し続けていきたいと思った。2018/12/22
zel
14
歌舞伎について全く知らないので、手に取ってみた。歌舞伎の用語も人物も分からず、検索しながら手探りで読んでいく。歌舞伎って、ポップなものであり、トラディショナルなものであるんだな。今までの息遣いが残っているんだなと思った。歌舞伎への興味は高まった。もう少し入門編になりそうな作品を探してみようかと思う。2020/01/17
犬養三千代
10
平成は歌舞伎にとって残念な時代。上の世代から花形へ繋ぐ勘三郎、三津五郎を惜しくも喪ってしまった。 が、この一冊は江戸から平成の芸談のエッセンスが詰まっていて、原典もしめされている。 第四章の「終わりなき芸の旅」吉田修さんの「国宝」もう一度読みたくなりました。2019/08/06
犬養三千代
7
コロナから劇場に運ぶことも絶えてきた。関西住みなので南座、松竹座に歌舞伎がかかることを願っている。お江戸遠征も復活したい。様々な役者さんと演目をわかりやすく解説した本書は良かった。某評論家みたいに交流を自慢たらしく書いてないところも好ましい。2024/02/13