岩波新書<br> 日本財政 転換の指針

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岩波新書
日本財政 転換の指針

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  • サイズ 新書判/ページ数 228p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004314035
  • NDC分類 342.1
  • Cコード C0233

出版社内容情報

「破綻」や「国債暴落」の警句に脅え,財政を「再建」することが,本当に社会に共通の善なのか.尊厳と信頼の社会を構築するための財政の条件とは何か.赤字の原因を日本社会の構造から解き明かし,「ユニバーサリズム」の視点から,受益と負担の望ましいあり方,そして新しい財政のグランドデザインを提言する.

内容説明

「破綻」や「国債暴落」という警告の言葉に脅え、財政を「再建」することが、本当に社会に共通の善なのか。尊厳と信頼の社会を構築するための財政の条件とは何か。赤字の原因を日本社会の構造から解き明かし、「ユニバーサリズム」の視点から、受益と負担の望ましいあり方、そして新しい財政のグランドデザインを提言する。

目次

第1章 財政の理念を考える―「ユニバーサリズム」とは何か
第2章 「土建国家」の成立と零落―分配できない国家の憂鬱
第3章 日本社会の何が壊れてしまったのか
第4章 財政再建をどう進めるか
第5章 新しい財政のグランドデザイン―受益が築く尊厳と信頼
第6章 公正な社会をめざして―新しい正義の財政基盤

著者等紹介

井手英策[イデエイサク]
1972年福岡県久留米市生まれ。1995年東京大学経済学部卒業。2000年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。東北学院大学、横浜国立大学などを経て、慶應義塾大学経済学部准教授。専攻は財政社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ito

39
破綻や国債暴落といった風潮におびえ、財政を再建することが社会の善か、という問題意識があった。この問いに対して著者は赤字の原因が社会構造にあることを指摘し、ユニバーサリズムという視点を提示し新しい財政のグランドデザインを提言している。報道のような単純なモデルを扱うのを避け、税と社会保障の一体改革を示し、わかりやすさと厳密さを両立した秀逸な新書である。我々は改めて財政の理念から考えるべきだと思う。所得の多寡ではなく、人として平等に扱うユニバーサリズムという財政理念が社会に浸透して欲しい。2013/03/05

おさむ

24
朝日の書評欄で採り上げられていたので、読了。巨額の財政赤字の原因として税収不足に加え、社会的な信頼と、人間の尊厳に対する配慮の欠如を挙げている点が新味でした。公共投資偏重と減税のセットで成功した体験から今も抜け出せない日本。所得の多寡で区別する「救済」ではなく、人間が人間らしく生きるための「基盤の保障」が財政のあり方だと、中間層が思えるかが財政再建のカギですね、取り戻すべきは、安倍首相がいう「美しい日本」ではなく、政府や他者への信頼度、連帯感です。岩波新書では珍しく読みやすい良書でした。2015/08/19

おおた

13
やさしくはないけど税金の使い道に疑問を感じたなら読むべき。90年代バブル崩壊から税制再建を目指して消費税などで増税してきたけど、実は減税も多くて、それが今の税収の少なさに繋がっている。財政社会学者という肩書のように、社会のありようと政府財政の関係について語る。助け合わず生活保護者を敵対視する「不信」が蔓延した結果、無駄を排除する方向ばかりになった。相互を信用できないことは低所得層の未婚率につながり、家族で助け合うことも難しい時代になってしまったのかも。2019/06/02

coolflat

7
政府が「財政危機宣言」を出したのは1995年のことだが、なぜ財政がこれほどに深刻な赤字を抱え込んでしまったのかというと、その原因の一端は無駄な財政支出にあると考えられがちだが、むしろ決定的だったのは税収の減収であるとのことだ。理由は1990年代に繰り返された所得税減税、法人税減税にあり、景気対策の観点から所得税の累進性が弱められ、法人税も国際競争力の強化を名目として税率が引き下げられた結果、景気の回復局面では税収が伸びない租税構造となり、所得格差の是正効果も極めて乏しい税制となってしまったとのことだ。2015/01/17

壱萬弐仟縁

6
あとがき によると、著者は内田義彦『作品としての社会科学』に影響されたという(219ページ)。奥付の専攻が財政社会学とは初めて知った。本文では、「不信社会日本」という項目(13ページ~)は、この国の場合、政治家や官僚があまりに不都合を先送りしてしまい、格差や人口で雁字搦めになっている。北欧諸国は信頼感高い(14ページ)。再分配の、大切さ。社会学だから、経営家族主義や日本的経営が出てくるのは懐かしい(77ページ)。社会学だから、家族の家計が財政難だといけない。単身世帯増加も問題。公正で善い社会へは、道険し。2013/04/12

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