出版社内容情報
百年後の日本語の姿は?
奉り損ないの敬語、責任を回避する曖昧化表現・・・・・。「今時の若者は」といっていられぬ曲り角に、いま日本語がある。豊富な事例を分析、文部省指導の「正しい」文法のダメさ加減や、百年後の日本語予測まで、熱く楽しく語る。
内容説明
「お飲み物とか、お持ちさせていただいてよろしかったでしょうか」―奉り損ないの敬語、責任を回避する曖昧化表現など、「今時の若者は」と言っていられぬ曲り角に、いま日本語がある。長く辞書編纂に携わる国語学者が豊富な事例を分析、文科省指導の「正しい」文法のダメさ加減や、百年後の日本語予測まで、熱く楽しく語る。
目次
第1章 辞典になぜ改訂が必要か(言葉は移ろうのが当たり前;辞書の語義記述法 ほか)
第2章 日本語が曲り角に、今?(七五調に崩れあり;奉り損ないの“敬語” ほか)
第3章 文法論を作り直せ(なぜ文法を問うのか;学校文法がダメなわけ ほか)
第4章 日本語未来図(変化を測る物指し;ゆらぐ格助詞 ほか)
著者等紹介
水谷静夫[ミズタニシズオ]
1926年、東京浅草生まれの国語学者。1948年東京大学卒業後、国立国語研究所勤務を経て、1964‐91年、東京女子大学で教鞭をとる。コンピュータを用いた言語処理を早期から導入し、日本語の実態を分析。『岩波国語辞典』の編纂に、初版(1963年)から現在の第7版(2009年)までかかわる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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奥澤啓
61
水谷静夫。1926年生。国語学者。冒頭、著者が救急車で病院に運ばれた際の経験が語られる。処置室に居合わせた高校生グループの会話が理解できなかったという。私も、最近、似たような経験をした。「ブックオフ」に本を売りにきた客に買取価格を説明する店員の話が理解できなかったのだ。私は著者よりはるかに年少である。私は、著者同様、ここ20年ほど、日本語に決定的な変化が起きたと考えている。教養主義の完全な崩壊と、読書人の減少が大きな原因だと思うのだが。本を読もう。人間が言葉をつくるのではなく、言葉が人間をつくるのだ。 2014/12/23
mit
11
敬語の乱れをはじめ、日本語文法や語用の緩みは昔から見られることだが、「とか」の多用など最近の変化に著者は危機感を感じている。問題は若者だけでなく、国や教育の側の間違いや、大人の誤用も目立つという。「が」「を」「に」「で」など助詞の使い方の変化など、小説から引用して説明されていて面白い。途中著者自身の日本語文法論が展開され、興味深くはあるが、難解で説明不足のため読者は置いていかれる。近未来の日本語の予測もなされていて、違和感のある部分もあるが、面白い試みである。自分が使う「てにをは」が気になり始めた。2015/04/14
isao_key
10
50年余り『岩波国語辞典』の編纂に関わった著者が、現代言葉遣いの移り変わりのあやうさへの思いを書き綴った本。言葉は時代とともに移り変わるのが常であることは認めるが、それでもひと言物申さずにいられない頑固おやじに拍手したい。例えば、若い人の知識が足りないために「やばい」などともとはヤクザや犯罪者の隠語だった言葉を平気で使っている。また「少しでもお役にたてたらいいかなと思います。」と自分にかかわることなのに「か」を挟む態度にはどうしても馴染めないという。近年かつての七五調のリズムが消えて用語法が変わったとも。2013/04/07
蛸墨雄
6
難しかった。流す本ではなくて、じっくりと参考書を広げて読むべき本のはず、なので、巻末に参考書一覧が欲しかった気がする。それが残念。ただ、岩波の国語辞典が欲しくなることは間違いがなく、多分、第7版が出版された折に岩波新書として初版が出版され相乗効果を狙ったものであると思う。2017/11/13
ろこぽん
4
若い方たちの話しが全く理解できないというか、騒音にも聞こえることがある。と思って読んでみたけど、本の内容、ちょっと難しかったです。耳に心地よい人のしゃべり方は七五調のリズムだったんだ。綾小路きみまろも、言ってることはほぼ悪口なのに快感を覚えるのはリズムがいいからなのか。2021/10/03